「みかんファミリー」[著]椰月美智子なんて健やかな物語なんだろう。小春日和の陽(ひ)だまりに身を置いたような心地になる。物語の語り手は、大沢美琴。祖母・節子と母・響子と暮らす中一女子だ。ある日突然、響子が中三の時の同級生で、当時は接点がなかったものの、今では仲良しの「朱美ちゃん」と共同で買った古民家に、彼女の家族(朱美の娘と孫)とともに移り住むことを宣言。美琴にとっては寝耳に水で、腹立たしい