秋四夜「筑駒男子と塾高男子」「慎太郎、もう帰っちゃうの?まだ20時前なのに」居心地のいい広尾のビストロで食事をしたあと、慎太郎は明治通りでタクシーを捕まえて私だけを乗せた。「ごめんな、佳代。明日の裁判の資料、再読しておきたいし…」スラっとした彼に紺のスーツがよく似合っている。タクシーのシートから上目遣いに慎太郎を見る。しゅん、と寂しい顔を見せてからきっちり3秒。私は、聞き分けよく返事をした。「そっか