解剖室にて。解剖台はシンプルで、執刀者には飛沫感染の危険が「いまの状況は、『武器も持たず素手で戦え』と言われているようなものです」そう憤るのは、法医学の権威で、千葉大学法医学教室の岩瀬博太郎教授(53)だ。この教室では、警察などの依頼により年間約400体の遺体を解剖し、死因の究明に協力してきた。だが、いま現場では、新型コロナウイルスへの対策が、ほぼおこなえない状況なのだという。「感染症対策として、