中江藤樹(1608〜48)、と言うと、日本史でも、倫理学でも、「近江聖人」、江戸時代初期の思想家、日本の陽明学の嚆矢、「孝」を重視した、で、終わってしまっている。これは、歴史の反動でもあろう。戦前はやたら『修身』の授業で教えられた。と言っても、なんだか立派な逸話を並べ立てただけ。いったいどんな思想家だったのか、これではわかるまい。 戦国時代、美濃の斉藤龍興の配下に加藤光泰という武人がいたが、1567年、