これは小池百合子氏への「愛情表現」だったのか――。

毎日新聞は2020年12月17日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた小池・東京都知事の臨時記者会見をYouTubeで配信。そこでは、小池知事を応援するようなコメントとともに、YouTubeの「スーパーチャット」(スパチャ)機能を通じて「投げ銭」をする人が続出した。配信を行った毎日新聞はJ-CASTニュースの取材に対し、受領した全額を都に寄付するとした。

周りより目立つ「スパチャ」のコメント

「スパチャ」はYouTubeでの配信中、視聴者がチャット欄を通じてコメントとともに「投げ銭」をできる機能だ。スパチャで投げ銭をしてコメントを寄せた場合、チャット欄では通常のコメントよりも目立って表示されるため、配信者やほかの視聴者へのアピールにつながる。また、配信者側も収益を得ることができる。

YouTubeの利用資格によれば、配信者側がスパチャを利用するには「チャンネルが収益化されている」「チャンネル所有者が 18 歳以上である」「チャンネル所有者の居住地が提供地域に含まれている」の3要件を満たす必要がある。また、年齢制限付きや限定公開、非公開の動画や、チャットをオフにしている場合もスパチャは利用できない。

都の1日の感染者数が初めて800人を超え、小池知事が「年末年始コロナ特別警報」を表明した会見では、毎日新聞、産経新聞の「Sankei News」、ネットメディア「THE PAGE」といった媒体がYouTubeで中継。そんな中、ネット上で注目を浴びたのが、毎日新聞の配信だった。毎日新聞はユーザーが「スパチャ」可能な状態で中継を配信。すると、会見が始まる前の18分5秒に、「百合子しか勝たん」というコメントとともに250円を投げ銭する人が登場したのだ。

何も言わずお金だけ置いていく人も

突然のスパチャ発生に、チャット欄では「スパチャは草」「ナイスパ(ナイススーパーチャットの略)」と盛り上がりを見せる。その後も会見が始まると、「ゆりこがんばれー!!!」「応援してるぞ百合子」と言ってそれぞれ610円を投じる人や、何も言わずお金だけを置いていく人が登場。こうした「スパチャラッシュ」を受け、「あの...スパチャ来てますよ?」「スパチャ無視すんなよ」と、小池知事に「反応」を呼びかけるコメントもあった。

東京都は今回の件をどう受け止めたのだろうか。都の広報担当者は12月18日、J-CASTニュースの電話取材に対し、「(スパチャに関して)毎日新聞さんから何かご相談いただいたわけでもなく、関知していないというのが実態」と回答。その上で、

「毎日新聞さんのご判断でやられていることだと思いますので、都としてそれに対して特段申し上げることはありません」

とした。一方で、小池知事や都に対して投げ銭・寄付をしたいという視聴者に対しては、コロナと戦う都内の医療現場のために開設している「守ろう東京・新型コロナ対策医療支援寄附金」などを通じて寄付をしてほしいとした。

一方、毎日新聞の広報担当者は21日、J-CASTニュースの取材に対しメールで回答。今回の動画配信は「ミスにより『投げ銭』を受領する設定になっていた」とし、結果的には延べ37人から1万4454円を受領したという。その上で、小池知事への応援メッセージとともに『投げ銭』された例も多いことを踏まえ、「当社で受領するのは不適切」とし、受領金額全額を「守ろう東京・新型コロナ対策医療支援寄附金」に寄付するとした。担当者は「今後は適切な設定・運用を心がけます」としている。