日本の大動脈である東名高速に匹敵、あるいはそれよりも交通量の多い一般道が全国に存在します。道路のスペックとしても相応に高く、一般道ながら最高速度が80km/hの道路や、日本一の道路幅と呼ばれる区間もあります。

1日16万台走行も 交通量の多い道路 どんな姿?

 高速道路で交通量が多いところでは、1日10万台以上のクルマが走行しますが、一般道でも同等、あるいはそれ以上というところが全国に存在します。今回は、国土交通省が5年おきに実施している「全国道路・街路交通情勢調査(道路交通センサス)」最新版(2015年度調査、2017年発表)のデータに基づき、交通量が多い一般道を5つ紹介します。

保土ヶ谷バイパス(国道16号)


片側3車線の保土ヶ谷バイパス(画像:photolibrary)。

・区間:横浜市保土ケ谷区〜東京都町田市(約13km)

 保土ヶ谷バイパスは、横浜新道や横浜横須賀道路、首都高K3狩場線と、東名高速の横浜町田ICを連絡する道路です。主要な区間は片側3車線、最高速度80km/h、さらに案内標識も緑色と、高規格の自動車専用道路でありながら、1970年代の開通当初から無料です。

「道路交通センサス」によると、横浜市旭区内で平日日中12時間あたりの通過台数が10万3633台と、一般道で全国1位の交通量を記録しています。横浜市道路局によると、1日あたりでは16万台にもなるといい、慢性的な渋滞が発生しているそうです。

 ただ、この状況は間もなく変わるかもしれません。2020年3月22日(日)、東名の横浜青葉ICと横浜市街地を結ぶ首都高「横浜北西線」が開通することで、保土ヶ谷バイパスの交通がそちらに分散され、渋滞の緩和が見込まれています。

交通量は保土ヶ谷と互角 地方都市のすごいバイパス

 交通量で保土ヶ谷バイパスと1、2を争う道路が、新潟にあります。

新潟バイパスほか(国道7号、8号、116号など)

・区間:新潟市西区〜新潟県新発田市(新潟西バイパス、新潟バイパス、新新バイパスの合計、約41km)

 新潟市の近郊には、南北およそ40km以上にわたり周辺の道路と立体交差するバイパス道路があり、建設時期により3つの区間に分かれています。このうち最初に開通した中央部の新潟バイパス(黒埼IC〜海老ケ瀬IC)は、全線が片側3車線です。その後、北側の新新バイパス、南側の新潟西バイパスがそれぞれ片側2車線で開通しました。

「道路交通センサス」によると、その交通量は、新潟バイパスの新潟市中央区内で平日日中12時間あたり通過台数が10万3616台に上り、保土ヶ谷バイパスとわずかな差で全国2位です。また、新潟西バイパスの北陸道と接続する新潟西IC付近でも、全国7位の交通量を記録しています。なお、最高速度はほぼ全区間で60km/h以上、新潟西バイパスの一部区間では80km/hです。

新御堂筋(国道423号)


中央部に鉄道が並行する新御堂筋(画像:photolibrary)。

・区間:大阪市北区〜箕面市(約16km)

 新御堂筋は国道423号のうち、大阪市北区から北、箕面市までの区間の通称です。大部分で片側2車線ずつの本線と側道からなり、本線は高架または掘割でほかの道路と立体交差しています。また、淀川の南岸から千里中央駅付近までは、上下線のあいだに大阪メトロ御堂筋線および北大阪急行電鉄が並行しています。

 1964(昭和39)年の東海道新幹線開通、そして1970(昭和45)年の「大阪万博」開催を機に、新御堂筋の整備が進みました。大阪駅付近と北摂地域を直線的に結び、かつ無料でもあることから、「道路センサス」によると、淀川の南岸にあたる大阪市北区豊崎付近で、平日日中12時間あたりの通過台数が9万895台と、西日本の一般道でトップの交通量を記録しています。

最大18車線!? 道幅日本一とも呼ばれる道路とは?

 道幅で日本一とも呼ばれる道路が大阪にあります。交通量も多いです。

大阪中央環状線(大阪府道2号)

・区間:大阪府堺市〜池田市(約52km)

 大阪市の外縁部を「コ」の字型に結ぶような大阪中央環状線は、大部分が阪和道、近畿道、中国道の高架下に並行しています。道路構造は区間によって異なりますが、近畿道に並行する東大阪市内の区間では、道路空間としての幅が120mにも及び、日本一ともいわれます。

 このなかでは、西側から大阪中央環状線の北行き側道2車線、同本線3車線、高架の近畿道6車線(片側3車線ずつ)、大阪中央環状線の南行き本線3車線、同側道2車線の計16車線が並行し、場所によってはさらに右折車線などが加わり18車線になるという場所も。これでもまだ各車道のあいだに空き地が残っています。また、門真市から池田市にかけては、大阪モノレールも並行します。

「道路交通センサス」によると、東大阪市本庄西で平日日中12時間あたりの通過台数が8万145台と、一般道で全国5位の交通量を記録しています。


大阪中央環状線の東大阪市および八尾市付近。近畿道が並行する(国土地理院の空中写真を加工)。

名四国道(国道23号)

・区間:愛知県豊明市〜三重県鈴鹿市(約54km)

 名古屋市近郊と三重県四日市市および鈴鹿市を結び、「名四バイパス」とも呼ばれます。豊明ICから伊勢湾道と名古屋高速3号線の高架下を並走したのち、伊勢湾道よりもやや北側の臨海地域や木曽川、揖斐川を横断するというルートで、国道1号のバイパスとしての役割も担っています。

 愛知県内は大部分で周辺道路と立体交差しており、主要な道路とはICを介して接続しています。なかでも伊勢湾道に並行する豊明IC〜名古屋南IC間は片側3車線です。「道路交通センサス」によると、このほぼ中間にあたる愛知県大府市の北崎IC付近で、平日日中12時間あたりの通過台数が7万9159台と、一般道で全国6位の交通量を記録しています。

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 今回紹介した5つの道路は、おもに1960年代から70年代に整備が進んだ、比較的古いバイパスといえます。それぞれ、地域の基幹的な道路として機能しています。