NGT48劇場にて8月31日『村雲颯香卒業公演』が行われた。村雲颯香は暴行被害事件に遭った山口真帆に寄り添い続けたメンバーの1人として知られ、4月に山口と長谷川玲奈、菅原りこがNGT48からの卒業を発表した時はツイートで「最悪の結末と言われても仕方ありません」と苦言をつぶやいている。その彼女の卒業公演を前に8月27日、『文春オンライン』がAKS吉成夏子社長の音声テープに基づく山口真帆に関する記事を報じただけに、彼女をよく知る村雲が何を話すか注目されていた。

まずは4月21日に行われた『NGT48チームG「逆上がり」公演』千秋楽で山口真帆ら3人が卒業発表した翌日、村雲颯香がツイートした内容を振り返っておきたい。

村雲は「昨日の公演で行われた卒業発表について書きました。最後まで読んでいただけると嬉しいです」と長文を投稿したなかで、昨年12月に遭った暴行被害事件以降の山口真帆の様子について「被害者でありながら、すぐにグループの正常化を考え始めた真帆ちゃんは本当に強い心の持ち主だと思います」「たくさん泣いて、苦しんで、それでも諦めずにグループを変えようとしてくれた真帆ちゃんには感謝してもしきれません」と明かしている。

「それなのに、グループは真帆ちゃんの気持ちに寄り添うことができませんでした」というのは、運営をはじめメンバーが醸す空気を表現しているのではないか。村雲自身も一石を投じきれなかったことを悔やみ「このような事件が起きて、被害者であるメンバー、そしてそこに寄り添ったメンバーが辞めるなんて絶対にあってはならないことだと思います」「NGT48に変わって欲しかったという3人の願いを胸に、正しいグループとしての姿を皆さんにお見せできるように頑張ります」と決意を示していた。

それほど固い決意を胸にグループ再生に向かって尽力した村雲颯香。このたび卒業公演のMCで「この半年くらいは苦しいことが多くてメンバーの傷つく姿をたくさん見たし、ファンの皆さんのことも何度も悲しませてしまいました。大事なメンバーのことNGTのことも何も守れない自分が嫌になった時もあった。全部信じたかったけど出来ないことも多くて、何が何だか分からなくて、こういう状況にならないために自分はどうすれば良かったのかな?と悩んだ時期がありました」と話しており、4月22日にツイートした思いとの葛藤が感じられる。

彼女はそのように悩んでいる頃に考え抜いて、新しい夢に向かう自分を鼓舞する気持ちもあり卒業を決意したという。その上でメンバーの視点から「これまでのNGTが変わらなければならなかった部分、足りていなかった部分は相手の立場に立って考えて人のことを思いやる気持ちだと思います」と指摘する。

さらに「だから私自身、その気持ちを強く持てるようNGTの一メンバーとして変わろうと思いました。人の気持ちを分かってもらうこと、読み取ることは簡単ではないけど、でも時間をかけて向き合っていくことは決して無駄ではないとこの数か月間で分かりました。たくさんの方と向き合ったこの期間が、私を人間として大きく成長させてくれたと感謝の気持ちでいっぱいです」との言葉に、心境が変化していく過程が滲むようで胸が痛い。

「これからNGTには難しい道のりが待っていると思いますが、ゆっくりと時間をかけてしっかりと向き合って、一歩一歩前に進んでほしい。今後、誰1人傷つけることなく優しさにあふれるグループになることを祈っています。今日まで応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました」という村雲自身は、グループからの卒業とともに芸能界を引退する予定だ。

当事者でなければ、NGT48が大好きだったはずの山口真帆、長谷川玲奈、菅原りこ、村雲颯香が卒業を選ぶしかなかった内情は知る由もない。そんななか運営は今回の公演にて、角ゆりあが新しくNGT48のキャプテンを務めることを発表したのはまるで空気の入れ替えによって“新生NGT48”をアピールするような流れに思える。村雲が残した「ゆっくりと時間をかけてしっかりと向き合って、一歩一歩前に進んでほしい」との思いを真摯に受け止めて進まねば、方向を誤ってしまうかもしれない。

ちなみに一般からのツイートでは「卒業公演で村雲颯香氏が残した言葉から ・誰一人傷つけることないグループになってほしい⇒そう私は望む ・つらい気持ちのメンバーも見てきた⇒つらい気持ちのメンバーもいたのを見てきた 言葉は優しい よく考えられたバラのような言葉だ トゲがチクリと痛い まだ仲間を憂うか」という興味深い解釈も見受けられた。今となっては彼女が新しい夢に向かって力を発揮できることを願うばかりだ。

画像2枚目は『村雲颯香 FUKA MURAKUMO 2019年8月30日付Instagram「「夢を死なせるわけにいかない」公演ラストのアンコール衣装です」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)