世界で活躍するDJ/プロデューサー・石野卓球さんがアルバム『LUNATIQUE』を発売。そこで作品の話を伺ったのですが…。

「音楽ページで音楽の話をする“つまんねーやつ”と思われたくないので、セックス特集号ですし、アルバムのテーマが“官能”なのでエロい話でも。僕は性欲が強くニッチな性癖があり、しかも、気になることを突き詰める性質です。そして、2年前から生活の中心のひとつにセックスを置きました。すると、不特定多数じゃ物足りなくなったんですよ。初対面のスタジオミュージシャンとジャムれないのと同じ。キース・リチャーズとミック・ジャガーみたいな、瀧と卓球でもいいですけど(笑)、とにかく波長の合うセックスをしたいと」

衝撃の性生活トーク…! でも、そんな性生活の変化が、テーマの“官能”につながったのでしょうか。

「収録曲の元になっているのはぜんぶ6〜7年前の曲で、アルバム制作のために作ったけど、結局使わないままになっていたもの。それを今年の頭に聴いてみたら、寝かした甲斐があり、今の気分と合ったんですよ。100曲以上のなかから、DJがセットを決めるように10曲を選びました。そのテーマが“官能”です。

先ほども話したように、僕は今、セックスのことばかり考えて過ごすという夢のような場所=“エロトピア”に本籍地を移したエロトピアン。もともとエロに興味があったけど、あらためて、生きる原動力となる性欲をもとにした曲だけのアルバムを作ろうと思ったんです。『LUNATIQUE』は、英語では“狂気”、仏語だと“気まぐれ”という意味。その違いがいいと思ったのと、どの曲も架空の女性をイメージして作っていて、その象徴が月(Luna)なので。みなさんもぜひ、セックスするときに流してください」

パートナーと楽しんでほしいと。

「というか、セックスレスカップルはダメですよ。そうなるってことは、パートナー選びの時点で失敗してる。…って俺、何様なんですかね(笑)」

◇いしの・たっきゅう 1989年に電気グルーヴを結成。1995年にソロアルバム『DOVE LOVES DUB』を発売し、DJ 活動を本格的にスタート。プロデューサー、リミキサーとしても活躍。

◇『LUNATIQUE』¥2,500 全10曲入り、約70分収録。アートワークは盟友である美術家・宇川直宏。ジャケットは1978年発行の成人向け雑誌『漫画エロトピア』の表紙に“ハードコアレタッチ”を施して再構築。(Ki/oon Music)

※『anan』2016年8月17・24日号より。写真・小笠原真紀 文・重信 綾 《anan編集部》