3月8日、北中城村立中央公民館にて第62回沖縄県高校野球春季大会の抽選会が行われた。第1シードの中部商が抽選番号1番を引くと、続けて第2シードの美里工、第3シードの首里、そして中部商と準々決勝を戦った宜野座が第4シードと、4校が決められた番号へと振り分けられた。以下、抽選の結果からブロックごとの展望や好カードなど紹介していこう。

エース前田擁する中部商が一歩リードか、宜野座ブロックは激戦区!

前田 敬太(中部商)

【中部商ブロック】

 陽明−真和志はこのブロック1回戦の好カード。陽明は去った沖縄県高校野球部対抗競技会(以下競技会)の100mで全体の7位、1800mリレーでも10位と足で魅せた。それを上手く攻撃力へと繋げることが出来るならば、他校にとって驚異ともなろう。対する真和志は秋、初戦で浦添商と対戦し敗れるも、相手打線を5安打1失点に抑えて苦しめた。この冬のトレーニングで打力や攻撃力がアップした方が、試合をモノにするのかも知れない。

 同じく昨秋、宜野座に敗れたが二桁安打を放っている豊見城や、那覇国際との乱打戦で二桁得点を奪った向陽、沖縄水産を破った南風原らが中部商のライバルとなるか?対沖縄尚学戦で大金星を挙げた宮古総合実にも注目が集まるだろう。とはいえやはり、シードが圧倒的優利にも映る。エース前田 敬太を中心とした守りの野球は、糸満打線をも寄せ付けず昨秋の6試合で僅か9失点。その牙城はそう簡単には崩れないだろう。

【宜野座ブロック】

 昨秋、浦添商を完封で下し、中部商・前田 敬太から3得点を奪ったシード宜野座だが、その宜野座と同等の力を持つ高校がズラリと集まった。

 新人中央大会3位の前原は秋、中部商と戦い2対3と惜敗。エース西野 光人と徳盛 辰樹のバッテリーは、一年生中央大会から実戦を踏み続けてきた経験が武器だ。経験といえば昨年の春ベスト4の原動力となった石川の浜川 優馬も負けていない。宜野湾には、昨夏から揃って投げている宮城 清樹と野原 陽介の2枚看板があり、他校への大きなアドバンテージだろう。新人中央大会で8強に進み、競技会の打撃部門で全体の2位を占めた宮古に、工業大会で美里工と互角の戦いを見せた美来工科を合わせた6校のうち、どこが勝ち上がってきても不思議ではないのがこのBブロックだ。

今回のコラムに登場した学校の野球部訪問は以下から!沖縄尚学高等学校(2014年03月13日公開)県立美里工高等学校(2014年03月12日配信)県立糸満高校(2012年04月29日配信)県立中部商業高校(2012年04月27日配信)県立浦添商業高等(2010年06月19日配信)

[page_break:美里工、首里のブロックはコザ・内間を筆頭に好投手が集う]

美里工、首里のブロックはコザ・内間を筆頭に好投手が集う

内間 敦也 (コザ)

【美里工ブロック】

 投打で中心となる我如古 莉也の球陽は、一年生たちも中央大会への出場を果たすなど少しずつだが戦力が整いつつある。その球陽が胸を借りるのが浦添商だ。一年生中央大会で右の宮城 清主とともに優勝へと導いた天久 太翔は、中真 慶大(首里)、川野 裕司(具志川)らサウスポー三羽烏の一人。秋の真和志戦では5安打、宜野座戦でも6安打と少々湿っぽかった打線の奮起が無ければ、球陽に足をすくわれかねないが、逆にそこの底上げが無ければ、美里工を破っての上位進出もままならないとの危機感は十分に持って22日へと臨んでくるだろう。

 昨秋ベスト8のどちらかが、初戦で早くも姿を消してしまうことになった名護の當山 昇平と具志川の川野 裕司の投げ合いは必見だ。その勝者の前に、2回戦で立ちはだかりそうなのがコザだ。中部商・前田 敬太、糸満・金城 乃亜とともに右の三羽烏の内間 敦也は、その球威にますます磨きがかかり、攻略不可な不沈艦の雰囲気すら漂わす。

 また守りの読谷と打力の浦添の戦いも非常に興味深い。だがその二つの試合を凌ぐ好カードが、新人大会、一年生大会の南部地区で1位通過したものの秋、美里工の前で屈辱の大敗を喫した知念と、新人中央大会と秋の大会の2試合ともに、延長戦での惜敗(新人中央大会試合レポート)をした興南のカードだ。

 どちらがより悔しさをもって冬を越えてきたか?気持ちで上回り勝利を手に入れたナインが、一気にこのブロックを勝ち上がっていくのかも知れない。それら挑戦者を迎え撃つシードの美里工は、石新 恭士や平良 洋輝ら巧打者らに砂川 隆之佑や中村 太八郎らのパワー漲る中軸ら役者が揃う。伊波 友和や長嶺 飛翔、島袋 倫など昨年のような豪華、とまではいかない投手陣が整備されていれば、やはり頭一つ抜けた存在といえるだろう。

【首里ブロック】

 秋ベスト8の八重山商工に16強の北中城ら力のあるチームが揃ったこのブロックも、Cブロックに負けず劣らずの激戦区だ。中でも好左腕仲嵩 大貴らで新人中央大会4位を掴んだ那覇と、1年生ながらエースで4番の働きを見せた仲地 玖礼が躍動し、同大会準優勝した嘉手納の戦いは好カードでどちらが勝つか見当もつかない。

 その勝者と戦うのが沖縄尚学−普天間の勝者。宮古総合実に足をすくわれた沖縄尚学だが、新人大会と一年生中央大会では嘉手納とともに連続で決勝へ進出(新人大会試合レポート、一年生中央大会試合レポート)。野球の怖さを知った王者はこの春、他校に圧倒的な差をつけての優勝を目論む。またそうでなくては、糸満を制し3年連続となる夏を制覇することなどかなわないだろう。

 対する普天間は大型右腕の與那覇 大剛に全てがかかる。また斬り込み隊長となるスピードスターの高良 雄士が、沖縄尚学野手陣をかき回して少しでも浮き足立たせることが出来れば勝機は見えてくる。

 上位進出の筆頭格である首里は、秋のパーフェクト男であり、サウスポー三羽烏の中真 慶大が健在。また打線も強力で秋のチーム打率は.387を数えた。最後の年となるこの春で、44年間遠ざかっている優勝旗を持って帰り、真の古豪復活の狼煙を挙げることが出来るのは、この最強メンバーなのかも知れない。

(文・當山 雅通)

今回のコラムに登場した学校の野球部訪問は以下から!沖縄尚学高等学校(2014年03月13日公開)県立美里工高等学校(2014年03月12日配信)県立糸満高校(2012年04月29日配信)県立中部商業高校(2012年04月27日配信)県立浦添商業高等(2010年06月19日配信)