そのなかで吉田は、「相手が最後の狙いとして出すボールに意識を集中」し、シンプルに相手の攻撃を跳ね返すプレーを徹底。そうすることでプレーや動きに迷いがなくなり、堅実なディフェンスで敵の攻撃を潰していった。
 
 欧州やアフリカの選手に比べ、日本人DFは体格面でハンデがある。だがその点でも吉田は、読みの巧さを生かして素早くパスコースに入ったり、競り合いでは一度相手に身体を軽くぶつけてからジャンプしたりと、工夫をこらして優位性を保とうとしている。
 
 もちろん、こうした技術もこれまでプレーしたオランダやイングランドで培ったもの。欧州で積み重ねた経験を武器に、いかにタイトで安定した守備を披露できるか。来たボールを確実に跳ね返すことができるか。成否を分けるのはここだろう。
 
 振り返れば、2012年の入団記者会見で、吉田は次のように語っていた。
「日本人センターバックとして、これまでになかった前例を作ることができるのは、すごく誇りに思う。ただ、(他の選手が)やっていないことだからこそ、いろいろと困難があると思う。大変だけど、やりがいのある仕事。そう受け止めてやりたい」
 
 クラブ広報によれば、吉田は27日のトレーニングからチームに再合流した。日本代表では志半ばでアジアカップを後にすることになったが、サウサンプトンとの契約を3年延長した吉田の挑戦は、プレミアの舞台でこれからも続く、いや、これからが本番だろう。
 
文:田嶋康輔