6月12日、一般用医薬品のインターネット販売が正式に解禁されました。

この問題の発端は、第一類医薬品、第二類医薬品の販売にあたっては必要な情報を提供しなければならないなどとされていた薬事法の規定を受けて、厚生労働省が情報提供は対面でないと適切に行えないと判断し、薬事法施行規則でインターネット販売を一律に禁止したことにあります。
その後、裁判により、薬事法はインターネット販売を一律に禁止することまでを想定しておらず、この薬事法施行規則は、法律の委任の範囲を超えて医薬品の販売を制限しており無効であると判断されました。
今回の新たな制度では、薬事法および薬事法施行規則で一般用医薬品に関する情報提供などの詳細なルールを定め、一般用医薬品のインターネット販売を正式に認めました。
(制度の詳細は、厚生労働省政府広報の案内をご覧ください。)

用法・用量や服用上の注意点などをよく理解したうえで医薬品を使用することは重要なことですが、そもそも、情報提供の方法としてインターネットは対面に劣るのでしょうか。

一般用医薬品とは異なる分類とされた要指導医薬品については、引き続き対面販売が義務付けられていますが、ケンコーコムなどがこれに異議を唱えています。
(医薬品については、過去の記事もご覧ください。)

医薬品の他にも、不動産取引の際に宅地建物取引主任者が対面で行うこととされている重要事項説明について、対面以外の方法で行うことができないかが国土交通省の検討会で議論されています。
その検討会の実証実験の結果によると、対面での説明とテレビ電話を活用した非対面での説明では、理解度における有意な差はみられなかったようです。また、この実証実験では、対面で行っている説明を単純にそのままテレビ電話による方法に置き換えていますが、ITに適した表現の仕方や重要事項説明の内容をいつでも復習できるようにするなど工夫すれば、人によってはさらに理解度の向上が図れるかもしれません。

いずれにしろ、スマートデバイスの普及により、インターネットを通じて情報を入手したり、コミュニケーションを行う機会がますます増加してきていますので、社会の状況の変化に応じた制度にしていく必要があります。
人によってITスキルに差があることが問題視されることもありますが、みんなができるようになるのを待っていては進歩も遅れてしまいますし、従来型の対面による方法が禁止されるわけではありませんので、「対面対ネット」というような対立軸で捉えるのではなく、それぞれの方にとって便利な方法で対応できるように選択肢を増やすことを考えていくべきではないでしょうか。