美術に詳しくなくても、農村風景を描いたミレーの「晩鐘」や「種をまく人」などの作品は、きっと教科書で見たことがあるのでは? 今では、“風景画”はひとつのジャンルだけど、宗教絵画や宮廷の肖像画がメインだった19世紀半ば頃には、“単なる風景”は、驚きの画題として登場したという背景があるそう。

そんな風景画というジャンルを切り開いた、バルビゾン派のヨーロッパ絵画の軌跡を辿る展覧会「山寺 後藤美術館コレクション展 バルビゾンへの道」がBunkamura ザ・ミュージアムで11月18日(月)まで開催中。

「本展では、バロック期から19世紀後半におよぶ神話画、宗教画、肖像画、静物画、そして近代へと向かう絵画の新たな可能性の扉を開いたバルビゾン派の風景画に至るヨーロッパ絵画の変遷を、同館のコレクション約70点を通して辿ります。ヨーロッパ絵画には、さまざまなスタイルやジャンルがあり、時代に移り変わりとともに新たな潮流があふれ出て、その歴史をより豊かなものにしてきました。ヨーロッパ絵画の長い歴史を展観しながら、コローやミレー、クールベなど、バルビゾン派を取り巻く画家たちの作品とともに、“風景”自体を主役とし、“あるがままの現実を描く”という近代の入り口に立った画家たちの試みをご覧いただけます」と広報担当者さん。

タイトルにもある、「山寺 後藤美術館」は、山形県出身の実業家、後藤季次郎氏が長年にわたって収集したヨーロッパ絵画を中心とした貴重な名品を所蔵する山形県にある美術館。今回、Bunkamura ザ・ミュージアムで展示される数々の作品からは、“重厚感”ある農村風景画の奥深さを感じ取ることができるはず!