2012年、長崎県対馬市から盗まれた仏像について、韓国の劉震龍文化体育観光相が27日、下村博文文部科学相との会談で返還に前向きな発言をしたと、日本メディアが報じた。

この報道は韓国国内で大きな波紋を広げ、一部の韓国メディアは「不適節な発言」などと批判。28日、劉氏は記者会見で、「(日本が正当に取得したことが証明されるまでは返還を差し止めた)司法の判断を尊重すべき」だとし、「盗難や略奪の場合、返還するのが国際ルールの基本原則だ」との考えをあらためて説明したが、各界から批判が相次いでいる。

韓国文化遺産政策研究所のファン・ピョンウ所長は、「外交的に見ても間違いであり、国際法も知らずに話している」とし、会談は文化財返還について韓国の見解を堂々と主張できる良いチャンスだったのに劉氏は活用できなかったと批判した。

韓国仏教界も強く非難した。「瑞山浮石寺金銅観世音菩薩座像を取り戻す奉安委員会」の共同代表ドシン僧侶は、劉氏の発言は「遺憾であり憂慮すべきことだ」とし、文化体育観光相として不適節だと批判した。奉安委員会として今回の問題に対する声明を発表するつもりだという。

劉氏の発言は国会でも問題視された。最大野党・民主党のユ・ウネ議員は、「劉長官は政治・外交的に波紋を広げるような発言は自制すべきだ」と批判した。与党・セヌリ党のイ・ミョンス議員は「外国にある韓国文化財を返還するという全体的な枠で見た時、劉長官はそのような機会を逃した」と指摘。「文化財返還は歴史を正しく戻すという観点で扱うべきであり、(今回の発言は)国会東北アジア歴史歪曲特別委員会や国政監査でも問題になるだろう」との見方を示した。

・参照:仏教新聞
・参照:世界日報

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