国内ツアーの初戦、東京オープンは6日、お台場海浜公園(東京都港区)にて最終日を迎え、男女の決勝などが行われた。

男子は西村晃一・日高裕次郎組が、初の決勝に進んだ中山貴洋・奥平翔悟組を寄せつけずストレートで下し優勝。昨年、日本代表にも選ばれた日高は、国内ツアー初優勝。若手期待のエースがついに栄冠を勝ち取った。

女子はファイナルセットにもつれる接戦。田中姿子・石田アンジェラ組が草野歩・溝江明香組に競り勝ち優勝した。21歳の石田もツアー参戦2年目で初優勝を果たした。


▼ 初優勝の石田アンジェラ。ブロックにスパイクに大活躍。以前は強打に不安があったが「インドネシアの大会で覚醒しました(笑)」




「絶対に勝たなくてはいけないと思っていた。力を見せつけないと」日高は試合後に語る。「一発目(初戦)は大事だと思っていた。昨年のオリンピック予選のこともあったし」

昨年、中国で行われたロンドン五輪アジア予選。日高は、大会5日前に日本代表チームに緊急招集された。ほぼ五輪行きは不可能と目されていた中、最初から最後まで強打を打ちまくり獅子奮迅の活躍。日本チームの救世主となり、アジアに与えられた1枚のチケットをもぎ取った。結局、五輪派遣への代表決定戦に敗れロンドンへ行くことは叶わなかったが、アジアに日高の名前は大きく轟いた。

日高は09年にビーチバレーボールに転向、男子のホープとして実力をつけてきたが、国内ツアーでの優勝にはまだ届かなかった。しかし代表として日本チームに大きく貢献。先に海外で結果を残した。それだけに国内での優勝を渇望していた。

今大会は予選から出場。予選2回戦、本戦準決勝と二度フルセット持ち込まれ苦しい試合が続いた。日高は「相手に合わせてしまったところはあった。しかし決勝は自分たちのプレイができた。スパイクミスも全体でも3本ぐらいではないか」と話す。明らかに自信を持った強打を打っていく日高と、それをコントロールする西村。決勝では中山・奥平組に主導権をまったく握らせなかった。

しかし…と西村は話す。「決勝のレベルが最低限。もっと精度を上げてコンビネーションを使っていく。日高にも100%ではなくコースを狙って打てと言っている」日高も「思いっきり打たせてもらえないんですよ」と笑う。

絶体絶命の戦いが続いた五輪予選を経験し自信をつけた。昨季の五輪後はバーンアウト気味だったが、今季に入り望み通り優勝を果たした。パートナーの西村が言う。「日高には『(これからのために)必ず勝て』と言った。他もほぼ全チームがパートナーが入れ替わっている。その中で序々に良くなっていくのなら、それは普通のこと。いきなり勝てるかどうかだ」

「オリンピック予選で、自分のスパイクが世界に通用するのはわかった」世界を肌で感じ世界を目指すと公言した。行き先はブラジル・リオデジャネイロ。この優勝で日高は、未来へ雄叫びを上げた。

(取材・文=小崎仁久)

結果は次の通り。

□ 男子 3位決定戦
板橋・瀬田 1(21-19,9-21,9-15)2 仲矢・畑
□ 男子 決勝
西村・日高 2(21-15,21-19)0 奥平・中山

□ 女子 3位決定戦
小野田・永田 2(15-21,21-12,15-4)1 浦田・鈴木
□ 女子 決勝
草野・溝江 1(15-21,21-18,12-15)2 石田・田中