岩手の伝統的な食べ物を作る工房もある。まずは「南部煎餅」。小麦粉をこねてゴマをまぶし、型に入れて堅く焼き上げた煎餅で、淡白な味わいの中にもゴマと塩の独特な風味のある岩手名物だ。

南部煎餅は南北朝時代の頃、当地の長谷寺を訪れた南朝の長慶天皇に焼いて差し上げたのがルーツとする説もあるが、一方で物悲しいエピソードも。ヤマセの吹くこの地は冷害に襲われることが度々あったが、ヒエ、アワ、ソバの粉を使った南部煎餅が救荒食として、みちのくの人々の命をつないできたというのである。

煎餅のほかにも、大豆を使った菓子「丹切(きなこねじり)」や黒ハッカ糖、おこし、あめ玉などを作る「盛岡駄菓子」の工房もある。さらにはご存知「盛岡冷麺」の工房も! 盛岡冷麺のスープは、新鮮な牛肉、牛骨をベースに鶏ガラを加え、圧力釜でじっくり煮込んで作られる。その様子が見学できるほか、20分945円で麺やキムチの手作り体験もできるので、ぜひ本場の味をここで学んでいただきたい。

ちなみに、5月3日から6日にかけては、「盛岡手づくり村」で「2013盛岡手づくり村スプリングフェア」が開催される。この期間には、郷土芸能団体らによるステージショーや、盛岡特産品ブランドの販売などが行われ、いつもにパワーアップしてバラエティに富んだ手作り体験ができるんだとか!

岩手の観光どころと言えば、奥州藤原氏の栄華を今に伝える平泉中尊寺をイメージする人も多いだろう。また、『遠野物語』の里、遠野や宮沢賢治の花巻も根強い人気がある。岩手に足を運んだなら、そららに加えて「盛岡手づくり村」に立ち寄りつつ、古の技術を肌で感じてみるのはいかがだろうか。