(3) インターセプトされやすい。

味方にとって受けやすいボールは、相手にとっても受けやすい。別の言い方をすれば、味方にとってコントロールしやすいボールは、相手にとってもコントロールしやすい、という事ですね。パススピードが遅いと、相手に寄せられる時間を与えてしまう、という事だけではなく、そのパスをインターセプトした相手にボールをコントロールさせやすくしてしまう、という事も大きな要素としてあります。つまり、日本のサッカーがカウンターに弱い理由は、日本のサッカーが相手のカウンターを機能させやすいパススピードでプレーしている、という事だと私は感じています。

強くて速いパスは、インターセプトしても強く弾いてしまったり、インターセプトしたつもりでも抜けてしまったり、インターセプトした時に浮いてしまったり、それを引き起こさせる事も計算に入れてパスを出す事で、インターセプトからのカウンター、というリスクを軽減できる。そんな事まで考えて1つ1つのパスを、と思う部分もあるかもしれませんが、一流選手の多くにはそういう習慣が身についていて、一瞬の損得勘定の判断でそれができるようになるか、実はそこでプレーの質が大きく変わってきたりする。または、それが試合結果を左右したりもする。そのあたりの感覚というものが、まだ日本人選手には弱いような気がしています。


(4) 守備面で相手の速い攻撃を苦手としてしまう。

細かく無い、長いパスでの攻撃。そこには放り込み攻撃も含まれていますが、日本のサッカーがそういうサッカーに弱い原因は、やはり普段からそういうサッカーを相手に試合をしていない、という事ですよね。優秀なFWを育てるには優秀なDFが必要。高い攻撃力を育むには高い守備力が必要。つまり、縦に速い攻撃や放り込み攻撃に対しての守備の強さを育むには、そういうサッカーもある中での試合経験を重ねなければならない。海外のリーグでプレーする事による成長というのは、様々なタイプやスタイルの選手やサッカーとの対戦経験を積める、という事でもあり、そこは国内リーグではなかなか経験を増やせない部分。

しかし、そうは言っても、海外のリーグでプレーできる選手は限られてしまうし、更には、個人としてではなくクラブとしてのそういう経験というのも重要ですから、日本のサッカーの中にもそういう日本らしくないサッカーを取り入れていかなければならない、という事はあると思います。そして、その第一歩というのが、日本サッカー全体が1つ2つパススピードを上げる、という事で、速さは長さにも繋がってきますから、もしくは、長さを出すには速さが必要ですから、そうする事で今よりも、日本のサッカーが放り込み攻撃などに強くなれると思います。ここは、(1)〜(3)までとは異なる視点からの話ですが、しかし、その重要性は高いと言えると思っています。