[文春]「愛娘を胸に凍死した父の物語」


他者を生かすために、自分が死ぬ覚悟を決めることなど、そう簡単にできることではない。たとえ、その他者が家族や親族であっても……。しかし、娘を生かす覚悟をして、自らは死への道を選択した父親がいた。2013年3月2日、北海道湧別町での話である。


週刊文春によれば、その日の午前中、湧別町は快晴だった。娘の夏音ちゃん(9)と2人で暮らす漁師の岡田幹男さん(53)は、仕事を終えた午後に「児童センター」へ向かった。同センターで夏音ちゃんを引き取った岡田さんは、軽トラに乗って自宅へ戻る予定だった。


だが、2人は帰りの道中で記録的な暴風雪に遭遇する。地元住民によれば、「過去にない、想像を絶する吹雪」だったと言う。軽トラの「ガソリンが無くなりそう」になったので、岡田さんは近所の知人宅に徒歩で向かうことを決める。


そして、歩いているうちに、暴風雪で前後も左右も上下も分からなくなる「ホワイトアウト」に見舞われたのであろう。岡田さんは、「羽織っていたジャンパーを脱いで娘をくるみ、自分はシャツ1枚で猛吹雪に背を向け、娘を繭のように包み込」んだ。


翌日の「午前7時、軽トラの発見地点から300メートルほど離れた倉庫の前で、雪に埋もれた2人は発見された」。娘を包み込み、体温で暖め続けた父親は、包み込んだ状態のまま凍死した。そして、娘の夏音ちゃんは生き残った。


岡田さん父娘が雪に埋もれた状態で見つかった3月3日は、ひな祭りの日である。地元のコンビニには、娘のひな祭りを祝うためのケーキが、岡田さんによって予約されていた。まじめに、ささやかに、オホーツクの町で生きてきた父娘に、天災が刃を向けたのであった。


筆者は、必要以上に死者を称えたり、神格化したりする姿勢には疑問を感じる。とはいえ、この父親の娘を守った態度には、畏怖の念を抱かざるをえない。すごいことをやってのけたと思う。娘が生き残って、ほんとうによかったと思う。


[新潮]「凶悪冷血『未成年ペア』肖像写真と荒廃家庭」


2月28日に東京・吉祥寺で女性(22)が強盗に殺害された。容疑者の2人で、ルーマニア国籍の少年(17)と日本人の少年(18)であった。いずれも未成年であり、少年法61条のしばりがあることから、マスコミ各社は容疑者の名前と写真を報道していなかった。


しかし、週刊新潮はそんな風潮に抗い、「加害者がたとえ少年であっても、事件が〈社会の正当な関心事〉であり、〈凶悪、重大〉であれば実名報道が是認される場合がある」という大阪高裁の判決に基づき、2人の実名と写真を公開した。


少年の人権や更生後の社会復帰を考えることは重要だ。だが、20歳に満たない少年が、満20歳以上の成人と同列、いやそれ以上に凶悪な犯罪を行う場合もある。よって、少年法61条は柔軟に運用されるべきだというのが筆者のスタンスであることから、新潮の報道姿勢は支持したい。


[今週の軍配]新潮のコラムで福田和也氏が映画監督のクエンティン・タランティーノをベタ褒めしている。一方、文春がJKリフレに潜入取材した上で、「AKBと非発射系。この2つは秋葉原の地下水脈で繋がり、?非発射の延長線上?に存在する」と結論付けている。今週の軍配は引き分け。


【これまでの取り組み結果】(★は10勝)

文春:★★★ ☆☆☆☆

新潮:★ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆


(谷川 茂)