しかも1人の銀聯カードの年間利用額は1686ドル。

JCBカードの年間利用額は1人平均で1359ドル。

中野 : 日本の購買力よりも中国の購買力の方が平均でもう上回っている。

田代 : 平均で上回っている上にボリュームが違う。

中野 : これはどう考えたらいいですか。

田代 : 中国の人はAlipayをはじめとするオンライン決済と銀聯カードがあることによって、人民元はまだ国際通貨になっていませんが、事実上なっている。

彼らは世界どこに行くときもわざわざドルやユーロや円に両替する必要がない。

しかも銀聯カードがあれば、日本のコンビニエンストアで10万円までは日本円をキャッシングできる。

しかもホテルの支払いも、デパート、レストランも全部銀聯カードでできる。

中野 : 人民元は国際化しているのですね。

田代 : しかも銀聯カードはデビットカードで預金から支払われるので上限がない。

預金がある限りいくらでも使える。

中野 : 与信じゃないんですものね。

田代 : ですから、中国社会の中で一番信用があります。

中国のマーケットは漠然と大きいわけではない。

これだけの実体を伴っていて巨大なわけです。

ですから、例えばイオンは反日デモで店舗1つ焼かれましたけれども。

中野 : イオンは撤退しないのですか。

田代 : 撤退できるはずがない。

イオンも店舗を焼かれましたが、すぐ直後に、2013年に新たに3店舗つくって2014年には稼働すると発表しました。

ファーストリテイリングもユニクロの上海での巨大な店舗を、反日デモが行われた9月30日に開店しました。

開けた途端に長蛇の列です。

グローバルビジネスで勝ち抜いていくためには、中国市場から撤退することはあり得ない。

中国市場から撤退するということはグローバルビジネスから撤退するということを意味するわけです。

中野 : ということは、今日本でずっと報道されている、中国のビジネスは縮小すべきだという、ああいう論調はグローバルに考えたらナンセンスですね。

田代 : それは中国のことを知らないし、グローバルビジネスにおける中国のシェアもわかっていない人が、評論家として言っているだけです。

恐らく、日本企業がそういう行動をとったときには日本株は総崩れになってしまう。

中野 : 日本企業はもちろんですが、中国という消費の市場を内需みたいにとらえて、日本企業の次の成長のドライブに考えていくことは絶対不可欠なんですね。

これは日本の企業だけではなくて、当然アメリカ、ヨーロッパの企業、みんな一緒ですよね。

田代 : ロレアルは資生堂の100倍のお金を使って中国で広告をしています。

資生堂は日本式の対面販売というゲリラ戦で対抗する。

中野 : 資生堂は成功していますね。

田代 : 大成功していますね。

日本よりはるかに強いブランドを持っています。

中国でどれだけ稼ぐか、これが日本企業の株価にとっても一番大きいことです。

中野 : この動画を見ている皆さん、田代さんの話は、新聞で書いてある話とは全然違ったと思います。

実際、尖閣の問題とかいろいろありますが、中国経済は我々と否応なしに結びついている。

田代 : 表裏一体ですね。

中野 : 中国の13億の消費の力が今の世界経済の支えになっているということですね。

そういう観点で中国を見て、中国を嫌いだとは言ってはいけませんね。

中国と日本とそして世界が一体となって成長して、いい世の中ができていっていると、こういうふうに考えて中国経済を見ていきたいと思います。

田代先生、今日は斬新な話、たくさんありがとうございました。

またよろしくお願いします。