韓国のヤフーが2012年12月31日、長年に渡り提供してきたサービスを打ち切り、正式に撤退した。検索大手として世界的に知られているヤフーの撤退は、日本にも大きな驚きを与えた。

このことについて、ヤフーコリアで役員をしていたというある人物が、ブログを通じて韓国市場で苦戦する外国企業の現状について語り、大きな注目を集めた。

この人物は1月1日、ブログに「韓国を離れる外国企業:侵略者を追い出した家主の勝利?」というタイトルで、ヤフーが撤退した背景について分析した文章を掲載した。ブログによると、多くの韓国メディアは「ITトレンドに遅れたせい」と指摘しているが、実際はそんなことではないという。


「外国企業にとって韓国進出は犠牲が伴うものだ。だが韓国市場は中国や東南アジアよりも魅力が落ちることから、外国企業が多くの犠牲を払ってまで開拓したいとは思っていない。韓国から撤退を決めた外国企業は、『より効率的に成功できる市場に職員を集中させるためには韓国市場は捨てた方が良い』と考えている。現在の韓国には、外国企業を育てるような環境がないと言っていい」


昨年、韓国から撤退した外国企業は、ヤフーをはじめモトローラ、HTC、RIM、ゴールドマンサックスなどがあり、香港上海銀行(HSBC)も撤退を検討しているとされる。ブログでは、韓国の問題点を3つ挙げている。

1:融通が利かない消費者:消費者の好みはあまりにも偏っているため、企業は素早く消費者の動向を把握し、意思決定を行い、消費者の好みに合わせて動く必要がある。

2:競争者で満杯の市場:韓国はもう発展途上国ではなく、多くの産業群に進出し強大な競争者へと成長を果たした。そのため激しいトップ争いをしているのは多くが韓国企業で、そこに外国企業が入り込む余地はない。

3:低い国際的重要度:中華圏は大きな影響力を持つ地域だ。中国語が使えるだけでその市場は膨大になるため、多くの外国企業が中国、台湾、香港を重視している。発展途上のベトナム、インドネシア、フィリピンは未来のために投資価値がある市場だ。それに比べて韓国と日本は独自の言語を使用し、市場はローカル企業で飽和状態となっている。多大な犠牲を払ってまで征服したい理由はない。

そして、外国企業の撤退は韓国に次のような影響をもたらすという。

1:雇用市場の縮小:撤退企業は少なくとも2〜300人から数千人を雇用しており、撤退によって職を失う人が増加する。
2:人材の偏り:「私たちが攻略しない市場に対する専門家はいらない」という論理により専門家が流出する。
3:選択の幅の減少:国民は、電化製品はサムスン、自動車は現代、流通はロッテ、通信会社はSKを使わざるを得なくなり、選択肢はますます少なくなる。

ヤフーコリア元役員は、このような事態の責任は「消費者側にある」と指摘。自分にメリットがある商品だけを消費するという受動的な消費者になるのではなく、少し不便でもさまざまな商品を使ってみるという国際的な視野を持つ能動的な消費者になる必要があるとし、「消費者の能動的な変化がなければ、韓国市場は徐々に下り坂となるだろう」と主張した。

これについてインターネット上には、「一理ある」「結局は消費者が不利になるんだ」「言っていることは分けるけどヤフーコリアも無能だった。」「やっぱり検索はNAVER、カフェ(ネット上の同好会)はDAUMが良い」などさまざまなコメントが集まった。

参照:日刊ベスト保存所

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