昨年は最大借金9も抱えながら、交流戦からの復調でパリーグ2位に浮上したわが埼玉西武ライオンズ。クライマックス・シリーズ第1ステージでは、3位の福岡ソフトバンクホークスを向こうに回し、1勝2敗で敗れた。
今季は「骨太! ライオンズイズム2013」をスローガンに掲げ巻き返しを図るが、はたして・・・。
今季のライオンズを占ううえで、不可避な課題は大きく2つ。【1】ブルペンの強化と、【2】中島裕之の穴埋めだ。
【1】ブルペンの強化は、ここ数年間の課題だ。まさに獅子のアキレス腱と言っていいだろう。
昨年は前デトロイト・タイガースのエンリケ・ゴンザレスと、ボストン・レッドソックスのランディ・ウィリアムスを補強。ブルペンの建て直しを図ったが、そのゴンザレスが4月30日の対オリックス・バファローズ戦で、早くも自身3敗目。クローザー失格となった。
その後、先発投手として結果を出せていなかった涌井秀章がクローザーとして復帰。長田秀一郎、ウィリアムズと合わせ、終盤の投手リレーがようやく安定した。
涌井に最終回を任せることで、ようやく終盤の投手リレーが完成したが、その一方で先発ローテーションが駒不足に陥った。
昨年は岸孝之、牧田和久、石井一久に、野上亮磨、菊池雄星といった若手が加わったが、連戦が続く8月には6人目の先発投手が不在になった。西口文也は7月6日の対東北楽天ゴールデンイーグルス戦を最後に2軍調整中で、毎週日曜日は若手投手を試験的に起用するローテーションが続いた。
ブルペンの不調は、数値にも表れている。ブルペンの防御率は、2011年の2.81から、2012年は3.64に悪化。防御率3.64は、12球団ワースト1位だ。
与四死球率も、3.50から3.90に後退している。チーム全体でも2.87から3.25に悪化しているが、これはブルペンの制球難によるところが大きい。
ライオンズでは今季、涌井が先発に復帰する予定で、ブルペンの補強では、2011年までライオンズでプレーしていたブライアン・シコースキー、前広島東洋カープで2011年には35セーブを記録したデニス・サファテを獲得した。大石達也、十亀剣といった若手の台頭も期待されている。
だが、これまでにもファンの期待を裏切ってきたのがライオンズのブルペン陣。ファンの間では、「牧田、涌井と続いた『クローザーのローテーション』で言えば、今年は岸がクローザーでは」とも言われている。
今季こそ、この懸念を晴らして欲しい。
【1】ブルペンの強化以上に深刻な問題は、【2】中島裕之の穴埋めだ。2004年の松井稼頭央(ゴールデンイーグルス)退団後、ショートを守り続けてきた中島は、今季から米オークランド・アスレチックスでプレーする。
中島の功績は、野球を統計学的に分析するセイバー・メトリクスにも現れている
RC27(Runs Created per 27 outs)は、特定の選手1人で構成された打線で試合を行った場合、27アウトで平均何点とれるかを算出した指標だが、昨年の中島のRC27は6.23で、チーム1位。27本塁打で自身4度目の本塁打王に輝いた中村剛也ですら、RC27は5.0だった。
チーム全体では、1試合あたりの平均得点は3.58点。いかに中島の存在が大きかったかがわかる。
中島の存在感はWRAA(Weighted Runs Above Average)からも伺える。同じ打席数で、リーグの平均的な打者が打つ場合に比べ、その選手がどれだけチームの得点を増やしたか、または減らしたかを示す指標で、この値が10の選手は理論上、平均的な打者に比べチームの得点を10点増やしたことになる。
中島のWRAAは38.2。平均的な打者に比べ、38.2点もチームに貢献したことになる。こちらもチーム1位で、中村のWRAAは23.8だった。
中島の後釜には、秋山翔吾、浅村栄斗といった若手の台頭が期待されている。だが、RC27、WRAAともに、中島と彼らの差は歴然。RC27は秋山4.79、浅村3.75、WRAAは秋山14.3、浅村2.4だ。
もちろん、秋山、浅村ともにいっそうの成長が見込まれる。中島も、最初から活躍できたわけではない。
だが、今度は秋山、浅村の穴埋めが課題になる。昨年もシーズン中盤以降、チームに怪我人が相次ぎ、秋山、浅村が下位打線から上位に昇格したが、それで下位打線が弱体化した。
あくまで個人的な見解だが、少なくとも今年1年間は、中島の穴を特定の選手で埋めることは難しい。不可能ではないが、穴を埋めるには、中島クラスの選手を、大金をはたいて補強するしかない。
それよりも、ブルペン陣の強化を含め、チーム一体となって中島の穴を埋め、その間にポスト中島を育成する方が現実的と言えよう。
今季は「骨太! ライオンズイズム2013」をスローガンに掲げ巻き返しを図るが、はたして・・・。
今季のライオンズを占ううえで、不可避な課題は大きく2つ。【1】ブルペンの強化と、【2】中島裕之の穴埋めだ。
【1】ブルペンの強化は、ここ数年間の課題だ。まさに獅子のアキレス腱と言っていいだろう。
昨年は前デトロイト・タイガースのエンリケ・ゴンザレスと、ボストン・レッドソックスのランディ・ウィリアムスを補強。ブルペンの建て直しを図ったが、そのゴンザレスが4月30日の対オリックス・バファローズ戦で、早くも自身3敗目。クローザー失格となった。
その後、先発投手として結果を出せていなかった涌井秀章がクローザーとして復帰。長田秀一郎、ウィリアムズと合わせ、終盤の投手リレーがようやく安定した。
涌井に最終回を任せることで、ようやく終盤の投手リレーが完成したが、その一方で先発ローテーションが駒不足に陥った。
昨年は岸孝之、牧田和久、石井一久に、野上亮磨、菊池雄星といった若手が加わったが、連戦が続く8月には6人目の先発投手が不在になった。西口文也は7月6日の対東北楽天ゴールデンイーグルス戦を最後に2軍調整中で、毎週日曜日は若手投手を試験的に起用するローテーションが続いた。
ブルペンの不調は、数値にも表れている。ブルペンの防御率は、2011年の2.81から、2012年は3.64に悪化。防御率3.64は、12球団ワースト1位だ。
与四死球率も、3.50から3.90に後退している。チーム全体でも2.87から3.25に悪化しているが、これはブルペンの制球難によるところが大きい。
ライオンズでは今季、涌井が先発に復帰する予定で、ブルペンの補強では、2011年までライオンズでプレーしていたブライアン・シコースキー、前広島東洋カープで2011年には35セーブを記録したデニス・サファテを獲得した。大石達也、十亀剣といった若手の台頭も期待されている。
だが、これまでにもファンの期待を裏切ってきたのがライオンズのブルペン陣。ファンの間では、「牧田、涌井と続いた『クローザーのローテーション』で言えば、今年は岸がクローザーでは」とも言われている。
今季こそ、この懸念を晴らして欲しい。
【1】ブルペンの強化以上に深刻な問題は、【2】中島裕之の穴埋めだ。2004年の松井稼頭央(ゴールデンイーグルス)退団後、ショートを守り続けてきた中島は、今季から米オークランド・アスレチックスでプレーする。
中島の功績は、野球を統計学的に分析するセイバー・メトリクスにも現れている
RC27(Runs Created per 27 outs)は、特定の選手1人で構成された打線で試合を行った場合、27アウトで平均何点とれるかを算出した指標だが、昨年の中島のRC27は6.23で、チーム1位。27本塁打で自身4度目の本塁打王に輝いた中村剛也ですら、RC27は5.0だった。
チーム全体では、1試合あたりの平均得点は3.58点。いかに中島の存在が大きかったかがわかる。
中島の存在感はWRAA(Weighted Runs Above Average)からも伺える。同じ打席数で、リーグの平均的な打者が打つ場合に比べ、その選手がどれだけチームの得点を増やしたか、または減らしたかを示す指標で、この値が10の選手は理論上、平均的な打者に比べチームの得点を10点増やしたことになる。
中島のWRAAは38.2。平均的な打者に比べ、38.2点もチームに貢献したことになる。こちらもチーム1位で、中村のWRAAは23.8だった。
中島の後釜には、秋山翔吾、浅村栄斗といった若手の台頭が期待されている。だが、RC27、WRAAともに、中島と彼らの差は歴然。RC27は秋山4.79、浅村3.75、WRAAは秋山14.3、浅村2.4だ。
もちろん、秋山、浅村ともにいっそうの成長が見込まれる。中島も、最初から活躍できたわけではない。
だが、今度は秋山、浅村の穴埋めが課題になる。昨年もシーズン中盤以降、チームに怪我人が相次ぎ、秋山、浅村が下位打線から上位に昇格したが、それで下位打線が弱体化した。
あくまで個人的な見解だが、少なくとも今年1年間は、中島の穴を特定の選手で埋めることは難しい。不可能ではないが、穴を埋めるには、中島クラスの選手を、大金をはたいて補強するしかない。
それよりも、ブルペン陣の強化を含め、チーム一体となって中島の穴を埋め、その間にポスト中島を育成する方が現実的と言えよう。