『ニューヨークポスト』電子版は、“Ichiro Suzuki strongly wants to stay with the Yankees”「イチローは残留を強く望んでいる」という記事を掲載しました。
イチロー自身は「同世代の選手たちが多くいるヤンキースでのプレーを楽しんでいる」のだそうです。
メジャーで12年もプレーしていても、一緒に過ごす仲間たちの年齢を重視しているのはいかにも日本人的である種ほほえましくもあり、その反面マリナーズの孤独な日々が改めて垣間見えた気もします。

一般的には、このオフヤンキースは「今季の年俸が1700万ドルのイチローが低年俸(NYPは500-800万ドルと予想しているようです)を受け入れるなら再契約、同じくこのオフFAのニック・スウィッシャー(今季の年俸は1025万ドル)は引き留めない」と噂されています。
その理由としては、イチローがマリナーズから移籍後は打率.322と復活の兆しを見せ、プレーオフでもリーグチャンピオンシップシリーズではチームトップの打率.353を記録するなど存在感を発揮したこと、一方でスウィッシャーはプレーオフでは.167とブレーキになったことが挙げられています。

しかし、現実はどうでしょうか?
確かにヤンキースにとってプレーオフで使い物になるかどうかは大事な要素ですが、短期決戦での成績は運に左右される部分が大きく、それを来季の編成にダイレクトに反映させるとはちっと考えにくいと思います。
近年で言うと、2009年のワールドシリーズで松井秀喜がMVPを獲得するほどの大活躍を見せながら、ブライアン・キャッシュマンGMはあくまでレギュラーとしてのオファーを避けました。これなどはその典型でしょう。

来季、32歳で今季も24本塁打でOPSが.837を残しているスウィッシャーに複数年契約を提示するほうが(年平均額は今季年俸より大幅に下げることが必要ですが)、来季39歳でヤンキース移籍後も5四球しか選ばず打率が.322もありながら出塁率は.340でしかないイチローを引き止めるより、ヤンキースにとっては賢明に思えます。

加えてイチロー引き止めには、前述の『ニューヨークポスト』も指摘しているように、ブレット・ガードナーという「非力なスピードスター」タイプを2人も抱えることの重複感という問題もあります。

まあ、本件はスウィッシャーの去就も含め、このオフのFAとしては最大の大物であるレンジャースのジョシュ・ハミルトンを狙うのかどうかで決まってくるのかもしれません。