日本でもプレーした経験を持ち、現在はサンフランシスコ・ジャイアンツの打撃コーチを務めているヘンスリー・ミューレンス氏(45)が、来年3月のWBCでオランダ代表の監督に就任する可能性が出てきました。

 この一報を報じたのは、ジャイアンツの地元サンフランシスコの地域紙、サンフランシスコ・クロニクル。この記事においては、ミューレンス氏が2000年のシドニー五輪、2001年のW杯、2002年のインターコンチネンタルカップにおいて、オランダ代表の一員としてプレーしていたことも紹介されています。また日本のファンにとっては、1994年からの3シーズン、ロッテとヤクルトでプレーしていたことでもお馴染みかもしれません。現在ヤクルトでプレーし、2シーズン連続でセ・リーグの本塁打王に輝いたウラディミール・バレンティン外野手(28)にとっては、同じオランダ人助っ人としての先輩であり、また故郷キュラソーでのご近所さん同士でもあります(お互いに面識もあるとか)。

 WBCにおいては、2006年大会ではロバート・エーンホーン氏(現オランダ代表テクニカルディレクター)が、2009年大会ではロッド・デルモニコ氏が、それぞれオランダ代表監督を務めました。前回大会では、ミューレンス氏はデルモニコ元監督のもと、打撃コーチとしてチームの躍進に大きく貢献しています。現在は周知の通り、ブライアン・ファーレイ監督が率いているオランダは、もうすぐ1年になるパナマでのワールドカップで、キューバを2度撃破して世界一に。ただ、今年のヨーロッパ選手権では地元で最大のライバル・イタリアに敗れ、2大会連続での銀メダルに終わっています。

 前回大会前までは、あくまでもアンダードッグに過ぎなかったオランダ。しかし、同大会での2度のドミニカ撃破をはじめとする強豪国相手の大健闘、そしてワールドカップでの栄冠獲得によって、その立場は今回「展開次第では頂点も掴みうるダークホース」へと、180度様変わりしています。強力な投手陣と鉄壁の守備力、そして国際舞台での豊富な経験を兼ね備える「オレンジ軍団」は、既に国際大会の場においては、キューバと並ぶ中心軸になっているのも事実。ただ、今年再びユーロでイタリアに敗れたことで、「WBCに向けて何かを変えなくてはいけない」という考えが出てきているのかもしれませんね。

 なお、現役大リーガー0で臨んだ前回大会とは打って変わって、今回は大リーグでプレーする面々が、数多くオランダ代表に召集されるものと見込まれています。現在可能性が取りざたされているのは、ケンリー・ヤンセン(ドジャース)、アンドリュー・ジョーンズ(ヤンキース)、ロジャー・バーナディーナ(ナショナルズ)、ジャイアー・ジャージェンス(ブレーブス)、ユリクソン・プロファー(レンジャース)、カーク・ニューウェンハイス(メッツ)の6名。特にヤンセンは、絶対的守護神としてリリーフ陣の柱になる役回りが求められるだけに、なんとしてもメンバーには加えたいところでしょう。

 WBCにおいては、オランダは韓国、オーストラリア、そして予選からの昇格組1チームと、台湾・台中の桃園国際棒球場にて1次ラウンドで対戦します(ただし、予選の台北ラウンドにおいて、台湾が仮に敗退することになった場合は、別の国での代替開催も考えられているとか)。前回大会ファイナリストに、五輪でフル代表の日本を破ったこともあるオセアニアの実力派と、決して楽なラウンドとは言えませんが、是非とも前回大会に続いて1次ラウンドを突破し、上位進出を目指してもらいたいですね。

 仮に2次ラウンド進出を決めたとしても、それは前回大会の時とは違い、最早彼らにとって奇跡などではありません。あくまでも、決勝に行くための通過点でしかないでしょう。AT&Tパークでの決勝で、日本-オランダのカードは実現するのか。そしてその「第2の地元」において、オランダ代表を指揮する「ミューレンス監督」の姿は見られるのか?非常に楽しみにしつつ、「オラニエ」の戦いぶりを熱く見守っていきたいと思います。

ソース:http://www.mister-baseball.com/hensley-meulens-rumored-dutch-manager-2013-world-baseball-classic/