来年3月に開催される第3回WBC(World Baseball Classic)で、日本代表チームの監督が、ようやく、山本浩二氏で決まった。

 就任会見に加藤良三コミッショナー、王貞治特別顧問とともに出席した山本新監督は、「先月の末、監督の要請を受け、大変名誉のことで光栄です。徐々に重圧がかかってきています。(WBC)3連覇目指して戦っていきたい」と意気込みを語った。
 山本新監督は、広島東洋カープで監督を2度、北京オリンピックでは野球日本代表チームの守備走塁コーチを勤めた。

 代表監督の人選は、二転三転どころか、四転五転もし、見ているファンも目が回った。
 これまでにも山本氏の他、秋山幸二福岡ソフトバンクホークス監督、原辰徳読売ジャイアンツ監督、落合博満前中日ドラゴンズ監督などが候補に挙がった。

 最右翼だった秋山ホークス監督は、自身が現役の監督であることを理由に代表監督就任を辞退したが、これは当然だ。
 就任を要請した当時、ホークスはパリーグの首位争いの真っ只中にいた。しかもリーグ3連覇がかかった今季は、杉内俊哉D.J.ホールトン和田毅川崎宗則といった主力選手が相次いで退団。「WBCどころじゃねぇよ」と言うのが秋山ホークス監督の本音だろう。

 また、これまで人選が長引いた背景には、北京オリンピックの星野仙一代表監督の件も関係しているのではなかろうか。

 当時の野球日本代表チームには戦前から、金メダル獲得に多くの期待が寄せられていた。だが、いざ蓋を開ければ、予選ラウンドを4位で終え、本戦に進出。本戦の準決勝では韓国、3位決定戦では米国に敗れ、わが国はメダル無しの4位に終わった。
 期待感が強かっただけに、星野代表監督への非難は壮絶を極めた。たしかに 「金メダル以外いらない」との戦前の公言や、不可解な采配があったとは言え、星野代表監督への非難は、これまで築き上げた栄光をいっきに吹き飛ばさんばかりの勢いで、今にして思えば常軌を逸していた。

 そんな過去があるだけに、代表監督になるには相当の覚悟が必要だ。過去2回のWBCでは、わが国は連覇に成功している。スポーツは異なるが、夏のロンドン・オリンピックでは、サッカー日本代表が男女ともに期待以上の好成績を残した。
 WBC3連覇への期待は膨らむ一方だし、万が一のことがあれば、代表監督は非難は免れないだろう。候補に挙がった面々が辞退するのもわかる。

 そんな中で、火中の栗を拾うことになった(?)山本新監督。一野球ファンとして大会3連覇を期待しているが、ファンは、どんな結果に終わろうと冷静に受け止めようではないか
 勝てば官軍、負ければ賊軍では、誰も代表監督などやりたがらないし、監督となる逸材も育たない。