11月1日からタイで開催されるフットサルW杯の日本代表メンバー候補に、横浜FCのカズが選ばれた。メディアはこぞってこの話題を取り上げ、テレビ放送もCS放送から地上波放送に変更されるかもしれないという話まで飛び出している。まさにカズ効果だね。
 
確かに、世間の目を今回のフットサルW杯に集めることができた。新たなスポンサーもついて、より大きなお金が動くことにもなる。そういう面では成功かもしれないが、果たして本当にこれでいいのかという疑問は残る。
 
今年1月にカズがエスポラーダ北海道の試合に出場したときは、横浜FCと同じ経営者という理由があった。ワンデースペシャルマッチのような登場の仕方は十分に納得できるものだった。これから先も、たとえば代々木体育館に1日呼ぶのだっておもしろいだろう。
 
ところが今回はまったく違う。国を代表するナショナルチームだ。カズが入ったことによって、選ばれなかったFリーガーが1人いるわけだ。これをやってしまったら、Fリーグの意味がなくなってしまうじゃないか。Jリーガーでもいいなら、W杯のときだけJリーガーから選べばいい。そもそも登録の問題はどうなる? 規定を書き換えるのか? W杯や代表チームの尊厳はどこへ行ったのかな。
 
フットサル人気を何とかしたいのはわかるが、この短絡的な方法を選択した協会の思考には同意できない。さらに新聞もテレビも、おいしいコンテンツ、新たな興行がもたらされたわけだから、こうしたやり方を批判するどころか喜んでしまっている。お笑いタレントやアイドルタレントがフットサルW杯に担ぎ出されるのも目に浮かぶ。一発の打ち上げ花火になりはしないか。僕は疑問だね。
 
フットサルW杯について悲観的な話になってしまったが、もちろん、選ばれたカズ自身にはまったく責任はない。日の丸への、誰よりも強い思いを背負って精一杯戦ってくれることだろう。そして、カズが出る出ないに関わらず、フットサルW杯自体は単純に楽しみだ。特に、日本代表に初選出された森岡薫には注目している。彼はペナルティエリア内の動きが秀逸だ。カズばかりでなく、彼のようなFリーガーにもぜひ焦点を当ててもらいたね。