一本を取る柔道にこだわるのはいいとしても、ロンドンで男女あわせて金メダルひとつの惨敗となってしまったことは、モノづくりだけにとらわれ、惨めな状況に陥った日本の情報家電と重なって見えてきます。その五輪の柔道の反省会で、吉村和郎強化委員長が「誰も負けようと思ってやっていない。たまたま、こういう結果になった」と発言したと産経新聞が報じたためにネットが騒わがしくなっています。ロンドン五輪の敗因を検証ロンドン五輪の敗因⇒『たまたま』でしたで騒然・・ - NAVER まとめ
火元は、この産経記事です。確かにそう書かれています。【柔道】ロンドン五輪の敗因を検証 担当コーチ制復活を提案 - MSN産経ニュース

男子の篠原監督、女子の園田監督を続投させたいという吉村委員長の気持ちが、そういう発言となったなら、それは騒ぎになっても当然でしょうし、場合によっては、今年の流行語大賞候補にノミネートされそうです。
「メテオ・ストライクス!」さんのブログによれば、こうなります。

阪神タイガースが阪神の負けが込んでいるのも、たまたま。 真面目な探求者のマートンを腐らせてしまったのも、たまたま。ブラゼルと城島の併用というムシのいい事を企んで大失敗したのも、たまたま。金本の返球がお嬢さんレベルなのも、たまたま。金本の守備がリトルリーグレベルなのも、たまたま。新井兄がチャンスに激弱なのも、たまたま。若手が育ってこないのも、たまたま。ドラフト戦略が下手過ぎるのも、たまたま。



たまたま惨敗したロンドン五輪の柔道(笑) - メテオ・ストライクス!:
ついでに言うなら、素人が考えてもバントの選択はないシーンでバントで失敗するのも「たまたま」なのかもしれません。

しかし、産経記事が吉村委員長の発言を真意と異なって書いたとするなら、産経記者がお騒がせの超本人ということになります。念のため他のメディアがどう報道しているかを検索してみると、やはり吉村委員長の「たまたま」発言に触れたものは見当たりませんでした。
読売記事ではこうなっています。
記者会見した吉村和郎強化委員長は、「技術、体力、精神面など敗因は多くあり、海外勢の分析も甘かった」とした。一方で両監督の責任問題については「敗因はコーチだけの問題ではない。2人とも五輪の指揮は初めてで、もう一度チャンスを与えてもいいと個人的には考えている」と続投させたい意向を改めて示した。



ずいぶん印象が変わります。
しかし、こちらの記事タイトルを見ると、産経記者が、両監督の続投に疑問をもったために吉村委員長の「たまたま」発言を聞き逃さなかったのかもしれません。【柔道】えっ!? 柔道の篠原監督続投の意向 女子の園田監督も - MSN産経ニュース : 
確かに、金メダルなしの男子の篠原監督の続投はどうなんでしょうか。「予想する中での最低(の結果)。ゼロからつくり上げていく気持ちにならないと。一度ここまで落ちると、なかなか上がっていくのは難しい」(FNNニュース)という柔道家山下泰裕さんの厳しい注文のほうが説得力があります。
篠原監督のもとに2010年世界選手権ではいい結果を出しているのですが、その2年後での惨めな結果となったことを考えると、やはり、世界選手権で日本の選手は研究されつくされ、分析されつくされた結果だと考えるのが自然でしょう。
いずれにしても、柔道の指導側の力量や体質また体制が問われているわけですが、意識や発想を変えること、人材育成方法やトレーニング方法などを根本から見直すことができるかどうかでしょう。一本にこだわるのも結構ですが、技でも世界にキャッチアップされ、しかも逆にあっさり一本負けしてしまう現状は、よほどの意識改革が必要だということでしょう。
強い「JODO NIPPON」でも「柔道日本」でもいいので、立て直しと再構築をぜひお願いしたいものです。