下式を使って非充電期間中の単位時間当たりの最大負荷電力を求めれば、最悪条件の蓄電要件が分かります。

Energy Storage Required = Maximum Hourly Load Power×(24hours - TimeCharging)では、バッテリが満充電されていない時に上記の条件が発生するとどうなるでしょうか。

機能が停止してしまった時(点滅しない、またはポンプが動かない)のコストを考えてみると良いでしょう。

ポンプが動作を止めると、そのコストは膨大なものになりかねません。

1つの対策は蓄電容量を増やす事です。

しかし、さらに上を行く最悪条件は常に存在します。

機能停止が許されない、あるいは最大出力が要求されるのは稀である場合、ディーゼル発電機などのバックアップシステムを用意し、常時運転するシステムは通常の動作条件に対応できるだけの容量にしておくのが最善策でしょう。

ここまで図3の左側を基に蓄電要件を考えてきましたが、次は右側を参考にしてソーラーアレイの容量を決定します。

負荷の要件が分かれば、ソーラーアレイの容量を決める事ができます。

図3から、ソーラーアレイは一定時間で充電を行いつつ平均負荷も出力する必要がある事が分かります。

下式はこの関係を表しています。

Output PowerSolar Array = {(Energy Storage Size)/TimeCharging} + Load PowerAverage蓄電部およびソーラーアレイの容量は、簡単なエネルギー収支から見積もる事ができます。

さらに見積もり精度を上げるには、内部/外部要因を把握する必要があります。

最も重要な外部要因の1つは設置場所です。

特に緯度が重要です。

これだけで年間日射量のピーク値と変動が求められます。

例えば、太陽との相対位置だけから冬季は日射量が最小に、夏季には最大になる事が分かります。

この他、システムへの日射量に負の影響を与える雲の発生や周囲気温、エネルギ変換効率などの外部要因があります。

これらの外部要因はアプリケーションと設置場所の両方によって変化します。

さらに、システムアーキテクチャ(特に接続方式)などの内部要因も蓄電部とソーラーアレイの容量決定に影響します。

変換効率100%を達成するのは事実上不可能なため、損失を考慮する必要があります。

ここまでは、蓄電部およびソーラーアレイの容量が、出力電力を決めると仮定してきました。

しかし実際には、出力電力を求めるには、パワーエレクトロニクスを考慮する事が必要です。

図1のシステムブロック図はエネルギー収支を理解する際には便利ですが、部品の容量決定に影響する内部要因を検討するには詳細が必要です。

図4は詳細なシステム実装図です。

この図から、パワーエレクトロニクスストラテジに影響を及ぼす課題が見えてきます。

マイコンベースのパワーストラテジを使うと、大きな柔軟性が得られます。

標準のリファレンス ザインを多様なアプリケーションで使える上、アプリケーション別のニーズにも対応でき、先進の機能も実装できます。

基本となる電力変換をサポートするだけでなく、主要部品の選択における柔軟性、変更への対応、幅広い動作条件に対して最適化できます。

専用の制御ICによるスタンドアロンパワーコンバータではこれを実現する事はできません。

この実装における焦点は負荷です。

負荷の性質はどのようなものか、負荷の制御をどのように行うかが重要です。

必要なのは電圧か電流か。

電圧/電流の設定点にはどの程度の精度が必要か。

負荷制御回路は、シンプルなリレー回路から3相インバータのように複雑なものまであります。

いずれの場合も、充電器の機能(パワーエレクトロニクス)は必要です。

この機能は太陽光を使って蓄電装置を充電します。