SQL処理はすべてSMPホスト側で、各コアはひたすら命じられた処理の実行に特化しているため、コア側のオーバーヘッドを極小化することができる」もう1つの大きな特徴は、「インテリジェント・クエリー・ストリーミング」と呼ばれるDB高速化技術を搭載している点だ。

これは、投入されたSQLに基づいてデータの結合、集計、ソートなど分析時の複雑な計算をすべてFPGAと呼ばれる回路内で処理。

このCPUに依存しない処理工程も並列処理されデータが絞り込まれ、必要なデータのみがCPUへ返されるという仕組みを持つ。

「この仕組みによって、データの移動量を劇的に減らし、圧縮比1/4の場合には毎秒400MBの高速なストリーミング処理が行うことが可能だ。

ここは従来、エンジニアの手でチューニングしてきた部分である」(法華津氏)人手でチューニングを行う必要がほとんどなく、ハードウェアやデータベースの物理設計も不要である点は、TCO(総所有コスト)の引き下げに貢献する。

法華津氏は、スライドに、導入から運用管理に至るフェーズにおける工数について、Netezzaと一般的なDWHを比較した図を示したうえで、「Netezzaさまざまな状況に合わせてシステム変更が将来的に必要になった場合でも、データベース・モデルの設計変更やデータマートの作成などを必要とせずに、柔軟に、すばやく、しかも安価に対応が可能だ」とメリットを強調した。

AMPPアーキテクチャとインテリジェント・クエリー・ストリーミングによって、Netezzaでは、データの流れを止めないストリーミング処理が実現されている。

このことは、パフォーマンスが常に安定し、予測を可能にすることにつながる。

例えば、1台のディスクで毎秒100MBのスピードで分析処理がなされているとすれば、単純に10台なら1GB、100台なら10GBのデータを処理可能であることが事前に予測できるわけだ。

「つまり、ボタンを押してから、分析結果が返ってくるまでの時間が読めれば、ユーザーは時間を有効に活用することができる。

Netezzaアプライアンスが世界中のユーザー企業に指示されているのは、このわかりやすさにある」(法華津氏)セッションの最後にはNetezzaの事例が2つ紹介された。

1つは、高齢者のセカンドキャリアを支援する米国のNPO、AARP(全米退職者協会)のビジネス・インテリジェンス(BI)刷新プロジェクトで、BIを稼働するRDBMSをNetezzaで置き換えたところ、データロードの速度が14倍になったうえ、ユーザー自身による自由分析も可能になり、3年間で3.5倍という高いROI(投資資本率)を達成している。

もう1つは、国内大手企業のビッグデータ分析基盤の事例だ。

この会社は早期からHadoopによる高速分析基盤を構築したものの、PBクラスに及ぶ膨大なデータを十分に使いこなすことができなかった。

そこで、Hadoopを補完するDWHアプライアンスとしてNetezzaを導入。

今までやりたくてもできなかった自由分析が可能になり、ビジネス価値につながる洞察を得ることに成功したという。

「Netezzaを導入することで、どの顧客も自身の運用管理負荷が格段に減り、コア事業により集中できるようになった。

実際に冷蔵庫のように使えるのかどうか疑念を抱いているユーザーの皆さんも、まずは試してその効果を実感していただきたい」――法華津氏はこのように語ってセッションを締めくくった。