松たか子と阿部サダヲが共演する映画『夢売るふたり』の予告編映像が公開され、その世界観が明らかになった。火事で全てを失った夫婦が結婚詐欺で再起を図ろうとするおかしくも悲しい姿を描いた、映画『ゆれる』『ディア・ドクター』の西川美和監督の最新作だ。
これまでの作品でも人間の深層心理をえぐる描写で注目を浴びた西川監督が、初めて女を軸に作り上げたラブストーリーである本作。予告編で明らかになった映像では、夫婦による結婚詐欺で女たちをだましていく様子がテンポよくコミカルに描かれている。だが、どこかねじれた愛の形が浮かび上がってくるにつれ、物語はどんどんサスペンスフルな展開に。予測不能なストーリーに公開が待ち遠しくなること間違いなしだ。
結婚詐欺を企てる夫婦役の松たか子と阿部サダヲをはじめ、出てくるのは、結婚できない独身OL(田中麗奈)、不倫で大金を手にした女(鈴木砂羽)、家計を支えるシングルマザー(木村多江)、男運の悪い風俗嬢(安藤玉恵)、孤独なウエイトリフティング選手(江原由夏)、妻を追う暴力夫(伊勢谷友介)、女性部下と不倫する兄と、兄の不倫事情を知る弟(香川照之の二役)、夫婦を追う私立探偵(笑福亭鶴瓶)などなど、一筋縄ではいかないキャラクターばかり。だが、そうした登場人物の設定には笑い飛ばすことできないリアリティーがあるのもまた事実だ。
西川監督自らの原案を基にオリジナル脚本を執筆した本作は、キャッチコピーである「人間最大の謎は、男と女」という言葉が身に迫ってくるほど、緊迫感に満ちた作品。妻が企て、夫がだます……だが、そのうちに誰がだまし、だまされているのかわからなくなる、そんな映画を観る喜びを味わえる一作だ。(編集部・福田麗)
映画『夢売るふたり』は9月8日より新宿ピカデリーほか全国公開
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