少なくとも条件は整っていた。２連覇が掛かったその決勝でも、彼らは強者ではなかった。絶対に勝たなければならないのはユベントスの方だった。メンバー的に五体満足だったのはユベントス。メンバーの知名度、選手としての格でもユベントスはアヤックスを上回っていた。下馬評で勝ったのもユベントス。試合がＰＫ戦にもつれ込んだ理由は、アヤックスが相変わらずチャレンジャー精神を持ち続けていたことと、精神的な乗りがよかったこと、逆にユベントスの乗りが悪かったことに原因があった。

ディフェンディングチャンピオンの前評判が低い方が、２連覇達成の可能性は高い。僕はそう見ている。

弱者に求められているものは精神的な乗り。五輪でスペインと対戦することになった関塚ジャパンに、それは備わっているだろうか。強者スペインにシマッタと思わせるプレイをどれほどできるか。問われているのは、ボール奪還能力だと僕は思う。

一方のなでしこジャパンはどうだろうか。こちらの立ち位置は、ディフェンディングチャンピオンだ。昨年のＷ杯の覇者なので厳密には違うが、追われる立場にあることに変わりはない。しかし、なでしこジャパンには、少なくともバルサのような匂いはしない。強者という立ち位置ではない。チェレンジャー精神も、精神的な乗りも十分に備えている気がする。連覇する条件は整っているように思う。

最大の敵は日本のメディアだろう。周囲が金メダル、金メダルと騒ぐほど、強者化は促進する。プラスアルファの乗りは失われる。参考にすべき立ち位置は、95〜96のアヤックス。絶対負けられない戦いになってしまったバルサではない。