次に、画像1に示す2種類のコンクリート容器内部に格納し、同様に距離Lを変化させて放射線量を測定し、遮蔽容器の遮蔽性能を評価した次第だ。

採取した土砂からサンプリングを行い、Ge(ゲルマニウム)検出器を用いて測定した結果、セシウム134(Cs134)が31.4Bq/g、セシウム137(Cs137)が48Bq/gであった。

なお、遮蔽容器内部に入れた土砂の重量は22.5kgであり、すなわち、Cs134が31.4Bq/g×22500g=706500Bq、Cs137が48Bq/g×22500g=1080000Bqのガンマ線量を含む土砂である。

放射線量の測定は3分間の放射線量(空間線量:単位Sv)の積算値を5〜10回程度測定し、その結果を平均して1時間(h)当たりの放射線量に換算した。

測定結果が画像3である。

測定結果より、超重量コンクリート容器(直径φ=50cm、高さH=60cm、厚さt=10cm、重さ420kg)に土砂を格納することにより容器表面(汚染土表面からの距離Lが10cm)において1/17に放射線量が減少、再生コンクリート容器(直径φ=70cm、高さH=80cm、厚さt=20cm、重さ600kg)では同様に容器表面(汚染土表面からの距離Lが20cm)において1/11に放射線量が減少していることがわかった。

次に、ガンマ線遮蔽の理論的な計算を行った。

理論計算には、MCNPと呼ばれるモンテカルロ法の放射線解析コードが用いられた形だ。

画像4・5が解析結果である。

実験における実測値との比較では、再生コンクリの表面や遮蔽無しの場合の20、30cm(汚染土表面からの距離L)当たりは、比較的よく一致。

ただし、線源に近づくにつれて解析値の方が低くなることがわかる。

また、遮蔽がない汚染土のみの場合との比較で考えると、概ね一致(理論計算と実測の誤差が1割程度)していることがわかるという具合だ。

また、再生コンクリの厚さを10、30、40、50、60cm、超重量コンクリで20、30cmまで計算した結果も示されている(側面方向および鉛直方向でそれぞれ汚染土表面からの距離)。

この結果から、超重量コンクリは再生コンクリに比べて厚さが20cmの場合は27倍、30cmの場合は120倍の遮蔽能力があるというわけだ。

今後は今回の研究開発成果を基に、汚染物の評価、コンクリート容器の設計・施工、格納後のモニタリングを連携して行える体制を構築し、地元住民の皆さんの安全と安心につなげていきたいと考えていると、荒木准教授らは語っている。