3月20日から23日にかけて、マレーシアのクアラルンプールでアジアサッカー連盟(AFC)の会議が行われた。そこで西アジア諸国から「アジア杯がW杯予選を兼ねる」という案が提出され、ちょっとした物議を醸している。

この案は2015年に豪州で開催されるアジア杯以降、開催を現行の「4年に1度」から「2年に1度」に変更し、2017年アジア杯が2018年ロシアW杯のアジア予選を兼ねるというもの。アジア杯でベスト4に進出した国々にW杯出場権を与え、残り1枠(実質0.5枠)は準々決勝で敗れた4チームで争う。これならば2019年のアジア杯も通常通り開催でき、2021年のアジア杯が2022年のカタールW杯予選を兼ねても支障はないという考え方だ。

とは言え、この案を導入するにはさまざまな面で壁があるのも事実。例えば経済面だ。現在、AFCはアジアのスポーツマーケティング会社として最大規模を誇るワールドスポーツグループ(WSG)と大型のパートナーシップ契約を結んでおり、代表試合削減に繋がる今回の案にWSGが難色を示す可能性も否めない。

しかし、この案を“荒唐無稽”と一蹴できない要素もある。その点について中国紙紙体壜周報は、2015年開催予定の第2回AFC U-22アジアカップ(2013年に第1回大会を開催予定。以降、2年に1度開催)が、2016年リオデジャネイロ五輪の男子サッカーアジア予選を兼ねる予定となっている点、各地域のクラブチームから代表試合削減を求める圧力が強まっている点、アフリカのアジア杯に相当するアフリカネイションズカップでは2006年大会と2010年大会がW杯予選を兼ねた点などを挙げ、今回の案が「採用される可能性も否めない」とした。

日本は今のところアジア杯最多優勝国(4回)となっており、中には「かえってそのほうが良いのでは」と考える向きもあるかもしれないが、優勝を成し遂げた2011年アジア杯でも日本代表が足元をすくわれかねない状況は多々あった。

特に現行のアジア杯では、上位8チームで争われる決勝トーナメントはノックアウト方式となるため、仮に今回の案がそのまま導入された場合、現在のW杯予選のように「次の試合で挽回」などと悠長なことは言えなくなる。今年2月まで行われていたW杯3次予選の対ウズベキスタン戦で1分1敗という不本意な成績で日本代表が勝ち上がれたのは、言うまでもなく、ほかの試合でポイントを積み重ねてきたからだ。また、アジア杯がいつどこで開催されるかで慣れない気候に悩まされたり、開催地によっては“常にアウェー状態”に置かれたりする恐れも拭えない。

同紙は今回の案を通じて、自国代表がこうした動きに迅速に対応できるよう注意喚起しているが、日本や豪州、韓国といったアジアのW杯常連国にとっても、決して見過ごすことができない動きなのではないだろうか。