■万吉:
先生がそれほど言うとは、点は取れたがあまり良い試合ではなかったという事か。しかしサッカーで4点差というのは快勝だろう。シリアがバーレーンに負けてくれたおかげで、五輪出場への道筋も見えたわけだし、U-23日本代表はハッピーじゃないのか。テレビのニュースでも大量得点で快勝とか報道している。

★珍蔵:
確かに快勝だし、シリアが負けてくれてよかった。五輪で退屈しなくてすみそうなので、それはハッピーだ。なにしろ団体戦では野球もソフトも無くなったからな。

しかし蒸し暑いコンディションの中で行われたとはいえ、昨日の試合内容は寂しい限りだ。どういうレベルでこの試合を評価したら良いのか分からないが、昨日に関していえば、このチームはあまり上手くはないな、と思ってしまった。

■万吉:
プレーが緩慢だったという事か?

★珍蔵:
いやいや、選手は一生懸命だったよ。ある選手などはもの凄い距離を走りまくり絶対点を取ってやるぞ、という気持ちに溢れていた。そういうものは伝わって来た。だから最後まで見る事が出来たわけだが、全体的に一生懸命だっただけに余計痛々しく感じてしまった。

今のU-23日本代表と戦う時の対策は僕でもわかる。とにかく高い位置でプレッシャーをかけ続ける事だ。日本のパスワークはボールスピードも遅くテンポも鈍いので、プレスをかけ続けると怖くなって必ず前線へボールを蹴り出してくるし、パスカットもわりと容易に出来る。ロングボールを蹴り出されても、精度は全く無いので、DFさえしっかりしていればすぐにマイボールに出来るだろう。日本の攻撃はボランチを抑えておけば何ら心配はない。

マイボールになったら相手ディフェンスの裏にロングボールを放り込む。するとスピードの無い日本のDFはビルドアップできなくなり、バイタルエリアがスカスカになってくる。そこを自由に使わせてもらう。ミドルシュートを打つのも悪く無い。理想はフィジカルの強いFWを用意して、キーパーとDFの間に微妙なボールを放り込む事だ。日本のDFはロングボールの対応が下手だしSBは守備が下手なので、これをやれば点を取れる可能性はかなり高い。


■万吉:
なるほど。何だかいつも言われている様な事みたいだな。

★珍蔵:
確かにそうなのだが、そのレベルが問題なんだよ。
多分オリンピックには出場できると思うが、どうもこの代表がオリンピック本大会で勝つ、ということがイメージできない。どうやって勝つのかな。

韓国は昨日、五輪出場を決めたようだ。その試合、韓国vsオマーン(3−0で韓国の勝利)の映像を少し見たが、韓国はフィジカルが強く組織的。アウェーにもかかわらず中東相手に強烈なプレスと圧倒的な攻撃を展開していた。まあ、たまたま良い部分だけを見たのかもしれないが、随分差をつけられてしまったな、という感じがした。

■万吉:
A代表でも南アフリカW杯前は酷いものだったけど、本大会ではベスト16に進む事が出来た。今回も本大会で大化けする可能性は無いのかい?

★珍蔵:
そりゃ勝負事だからやってみなければわからない。基本的には才能ある選手が数多くいるチームだ。大化けする可能性はゼロではないだろう。まあ本大会ではそれこそ「関塚監督の采配ずばり!」に期待したいところだ。オリンピックではシドニー以来ずっと負けているし、そろそろ1勝ぐらいして欲しいものだよ。

しかし、しつこいようだけど、勝つとしたら今のサッカーでどうやって勝つのかなあ…。