2012年新春に映画『三国志英傑伝 関羽』が公開。3月には三国志検定を実施。
今なお“三国志”は旬ワードである。

私は子供の頃、三国志の物語を漫画で知った。三国志ファン歴は十数年くらい。周りの女友達も“三国志”という慣れない言葉を口にし始めたのは映画『レッド・クリフ』が公開された頃だった。

金城武演じる、諸葛孔明は女子の心をわしづかみしたようだ。

そんなイケメン諸葛孔明が大好きな女子よりは“三国志”のことを知っているつもりだったが、『それからの三国志』を読んで、頭の中に“?”が浮かんでしまった。

漫画であれ、映画であれ、“三国志”のファンになった方は三国時代がどう終わったのか、孔明没後の覇権争いについてまだまだ知らない方も多いのではないかと思う。

『それからの三国志』では、孔明没後の覇権争いや、三国時代終焉のドラマが語られていて、著者内田さんはなぜ孔明没後の三国志に着目したのか知りたくなった。

「若い頃は有名な豪傑たちに憧れ、彼らが描かれた書籍を楽しんでらっしゃったそうですが、社会人になって改めて読み直してみると、その陰に隠れた人々に関心が向いたそうです。特に孔明没後に活躍する姜維らは、組織が出来上がりつつあった国の中で、自由な行動を制約されつつも、大義を貫こうと奮闘します。そんな姿が、サラリーマンをしていた自分に響いたのでしょうと、内田さんは振り返っています」

担当編集者は教えてくれた。

劉備や曹操、関羽も組織を築いていった訳だが孔明没後の姜維らの方が一層、現代に生きる私たちと重なる部分が多い。

仕事にも慣れて新たな壁が出てくる若いビジネスマンに共感を得そうな作品である。

「ただでさえ日本経済に元気がなく、カリスマ的なリーダーも不在な中で、企業に勤めるサラリーマンたちは組織の中でどうやって活躍し、目的に向かっていけばいいのか。もちろん時代も文化も違いますが、生きるか死ぬかの厳しい時代に奮闘した本書登場人物からは、今に通じる人間ドラマが垣間見えるはずです」

担当編集者は日本の若いビジネスマンに向けてそう期待を寄せていた。

『それからの三国志』は三国志ファンから大好評で、累計14万部のヒットとなった。私と同じように、慣れてきた環境でどうあがいていくか、読者は考えたに違いない。
(茶谷/boox)