鬼才デヴィッド・クローネンバーグ監督の最新作『A Dangerous Method』での迫真の演技が話題を呼んでいるキーラ・ナイトレイが、今回の役柄や監督との信頼関係について語った。

2011年公開の話題の映画『A Dangerous Method』(日本未公開)の中で、精神分析を生んだ2大精神科医、カール・ユングとジークムント・フロイトの強固な師弟関係を激しく揺さぶるロシア系ユダヤ人女性、ザビーナ・シュピールラインを演じたキーラ。ザビーナは患者としてユングと出会い、妻子ある彼と一線を越えてしまうだけでなく、ユングの師フロイトをも巻き込む魅力的な女性だ。過激なSM描写でも注目を集めているこの『A Dangerous Method』について、キーラに今回の役どころについてインタビューを試みた。

登場人物が次第におかしくなる映画はよくありますが、今回あなたが演じたのはそれとは逆で、話が進むにつれてマトモになる役どころでした。実際に演じてみて、どうでしたか?
キーラ: (ザビーナの人物像を)理解しようと努めるのは、とても興味深い体験だったわ。彼女のバックグラウンドが見えなかったし、最初は狂気のレベルがどの程度になるのかもわからなかった。(監督の)デヴィッドには「頑張って、できる限り出し切るんだ。いつだって僕が元に(正気に)戻してあげるから」って言われたわ。

今回、あなたはザビーナという役柄になりきり、エロティックなシーンも体当たりで演じましたが、デヴィッド監督とはどのように信頼関係を築いたのですか?
キーラ: それはやっぱり、彼が素晴らしい監督だからというのが1つにあると思うわ。失敗したくないから無難に演じるっていうのもあると思うけど、監督があのデヴィッド・クローネンバーグとなれば話は別よ。ご存知のとおり、彼の美的感覚は非の打ち所がないし、彼は自分の望んだものを手に入れるわ。だからこそ彼を完全に信じるの。それに彼は、これまで私が一緒に仕事をしてきた中でも、最高に協力的だし、クリエイティブだし、頭もいい人よ。彼って本当に、特別な人なの。影響を受けずにはいられないし、それゆえにあらゆる面で彼の本能を信頼してるのよ。

(ユングを演じた)マイケル・ファスベンダーとの共演はどうでしたか?
キーラ: 彼ってすごく面白いの。彼と(フロイト役の)ヴィゴ(・モーテンセン)は最高の2人組だったわ。恐るべき双子とでも言おうかしら。こういうタイプの映画を作るときって、すごくシリアスな感じになるだろうと思うでしょ。テーマがすごくシリアスで暗いから。でも実際は、私がこれまでに体験した中で、一番といってもいいくらい楽しかったわ。たぶん作品自体が暗かったから、それ以外のところでは楽しく過ごさなくちゃという意識があったんだと思う。