「差別はしないが、区別はする」。田坂体制2年目も、全員に同じチャンスが与えられ、メンバーが振り分けられる。そこで生まれる闘争心が、いい雰囲気をかもし出しているのは確かである。

今季の大分にとってポジション争いは最大の焦点と言っていいだろう。昨年の25人から29人と人数が増え、村井を筆頭に様々なポジションをハイレベルでこなせる選手が加わった。監督も「昨年までの実績はリセットする」と、ゼロからのサバイバルを促した。

今月末から鍛錬期に入り、週1ペースで練習試合を通し、次第に田坂監督の目指すスタイルが形づくられていくことになる。今季のキーワードを「攻撃」と挙げた指揮官の頭のなかには、すでに理想が描かれている。

「決して引いて守るつもりはない。やはり見ていて楽しい、見ていて強いというトリニータを出したい。そのためには、たくさん点をとる試合をしたいし、守備においても攻撃的な守備をしたい。J2で昇格するチームは、カウンターで点を取り、守り切るというチームが多いが、一昨年の柏のように圧倒的な試合ができるようにしたい。昨年の3―4―3を考えているが、さらに攻撃的にしたい」

サイドを効果的に使い、つないで攻める田坂スタイル――その戦いをベースに8週間後の開幕戦に挑む。目指すはJ1昇格という頂だ。

■著者プロフィール

柚野真也

1974年、大分県大分市生まれ。大学卒業後、専門紙の記者として活動、その後、フリーランスのライターとして活動を開始。九州のスポーツをメインに「週刊サッカーダイジェスト」「J’sGOAL」などサッカー専門媒体や、「フットサルナビ」「Fリーグモバイル」などフットサル専門媒体にも執筆。