■攻撃サッカー元年の始まりになるか

権田は言う。
「先に点を獲られたせいもありますけど、真っ向勝負だった気がします。お互いに守備よりも攻撃というチームじゃないですか。ほんとう、それが真っ向勝負を招いたんだと思います。ウチが4-2で勝つなんて、なかなかないじゃないですか。オープンな試合になったと思う」

勝者の東京に脚光が当たるが、フィナーレの共演者が京都であった事実を忘れたくはない。東京の最高のパフォーマンスを引き出したのは、リトリートして古典カウンター、というつもりが毛頭ない相手が同じピッチにいたからだ。そこには攻めるだけのスペースがあった。

京都の全力プレーに何がなんでも勝つ、負けたら何も残らないと決意を固めたからこそ、あれだけ東京は強かった。

スポーツに勝敗は付き物だが、相手がいてできることであるし、また結果だけでなく内容も重要だ。
体を動かす表現であるかぎり、競技性に芸術性と娯楽性は付随する。その意味で決勝が攻め合うチーム同士のファイナルになったことは、サッカーそのものにとってよかった。
試合後に両チームのイレブンが相手のファンに挨拶する、社会人サッカーのような光景が見られたことは偶然ではない。

「きょうは観てくれたすべての人に、いい試合を見せることができた。だから試合が終わってからああいう(互いに挨拶する)ふうになったと思うし。ああいう展開になってみなが喜んでくれたのなら、FC東京だけではなく、日本サッカー界に貢献できたと思う」(権田)

ハードワークとパスワークにこだわりを持つ2チームの競演。このカップ・ファイナルが攻撃サッカー元年の始まりを告げる号砲になればと思う。

■著者プロフィール
【後藤勝】
東京都出身。ゲーム雑誌、サブカル雑誌への執筆を経て、2001年ごろからサッカーを中心に活動。FC東京関連や、昭和期のサッカー関係者へのインタビュー、JFLや地域リーグなど下位ディビジョンの取材に定評がある。著書に「トーキョーワッショイ」(双葉社)がある。
2011年3月、FC東京の取材に特化した有料メールマガジン「トーキョーワッショイ!MM」を創刊した。

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