福岡ソフトバンクホークスの2003年以来となる日本一で幕を閉じた今年のプロ野球。3年目の秋山幸二監督の下、ベテランと若手、そして新戦力が融合し最強チームとなったホークスだが、実はこの黄金時代はそう長くは続かないだろうというのがスポーツ紙記者の見方だ。

 理由は、今オフのストーブリーグで、ホークスからは主力選手の流出が予想されているからだ。まず、杉内俊哉が国内FA権を行使することを宣言。さらに和田毅もFAでメジャー移籍が濃厚と、ふたりの左腕エースが同時にチームを去る可能性が高い。あるスポーツ紙の現場記者は「もう今季のような強さはないでしょう」と予想している。

「和田がメジャー、杉内も国内移籍となれば左の先発の補強が急務。ヤンキースの井川がソフトバンクを希望して売り込みをかけているみたいですが、オリックスの岡田監督も獲得に動くとのこと。今季、FA権を行使する西武の帆足和幸からはもう好感触を得ているらしい。ただ、もし井川と両方獲ったとしても、和田ひとりの穴すら埋まらないという見方が支配的です」(記者A)

 さらに野手に目を向けても、同じくFA権を獲得した川崎宗則内野手がメジャー移籍を希望している。

「ソフトバンクは川崎が流出した場合の補強ランクトップに阪神・鳥谷敬を挙げています。しかし巨人と獲り合いになる可能性も低くないでしょう」(記者B)

 鳥谷はもともと東京出身だけに、巨人が優位に立っているとの見方もある。また巨人とは杉内の獲り合いになることも予想されている。

「ソフトバンクと巨人は、杉内の件でも激突します。杉内はFA行使を夏頃には決めていたという話ですが、それも実は巨人への移籍を前提にしてのこと。和田や川崎がメジャー志向なのに対して、杉内は『評価=金銭』という考えなんです。孫オーナーが直々に『いくら欲しいんだ?』と白紙小切手でも渡せば当然、残留するでしょうし、逆に巨人のほうが好条件であれば、残留する理由はないと思います」(記者C)

 また、和田に関しては、メジャーでの知名度が低いので手を上げるチームはないのではという憶測も流れていたが、ダイヤモンドバックスが獲得に乗り出す方針であることが判明した。

 2004年にプレーオフ制度(のちのCS)が導入されて以来、2008年以外は毎年プレーオフに進出するものの、日本シリーズに辿り着く前に敗退してきたホークス。今季、その“プレーオフの呪い”は解かれたが、新たな試練の時代がやってくるかもしれない。

(写真/益田佑一)

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