本格的な秋が到来し、化粧品業界では、夏にダメージを受けた肌の補修を目的とした化粧水など、秋冬の新作コスメがドラッグストアなどの店頭を賑わせている。

 中でも、唇の乾燥を防ぎ、唇に潤いを与えるリップクリームは、秋冬に最需要期を迎えるこの季節らしい商品だ。今季は、リップクリームのうるおいとグロスのツヤを兼ね備え、唇を瑞々しく、きれいに見せる「美容リップ」がトレンドで、各メーカー・ブランドから続々とリリースされるなど、女性の唇に対する意識の高さをうかがうことができる。目や肌、髪型などと同じように、唇も女性にとって大切なパーツの一つなのだ。

 唇に対する意識の高さはこんなところでもうかがえる。「メンソレータム」ブランドを展開し、リップクリーム市場でトップシェアを誇るロート製薬が今年行った、キスしたくなるくちびるコンテスト2011「I want Chu」では、応募総数が1,800通を数えた。このコンテストは、“キスしたくなるくちびる”をコンセプトに、一般ユーザーが自分の唇の画像を応募し、集まった画像をサイトで公開。それを見たユーザーが投票を行い、グランプリを決めるというもの。唇というパーツの注目度を示すように、投票は計90,748票を記録し、サイトを公開した2月22日からの9月20日までの約7ヵ月で延べ479,766人が訪問した。

 このコンテストでグランプリを獲得した「mochiko」さんの唇は、大きなブームとなった「アヒル口」ではなく、ノーマルタイプの魅力的な唇だった。この結果からも、アヒル口のような唇の「形」のブームが落ち着き、色みやツヤなどが今後、重要視される兆しを見せていることが分かる。さらに、今年新設となった男性部門でも、海外からの応募もあるなどより幅広い盛り上がりをみせており、これからは女性だけでなく唇の美しさを求める男性も増加していきそうだ。

 唇は皮膚とは異なり、汗腺がないために乾燥しても自分で潤うことができない。見た目のおしゃれさや美しさだけでなく、唇を保護する意味でもこの季節に欠かすことができないリップクリーム市場で、今シーズンはどの商品がシェアを獲得し、イニシアチブを握るのか。女性・男性それぞれの市場は拡大するのか、注目したい。(編集担当:上地智)