――恋愛的なテーマが多いのかな、と思って歌詞を見させて頂いてたんですけど。
露崎:確かに、そうですね。――10曲目の「You Lied」の歌詞を見て、よく恋愛を男性は別名で保存して、女性は上書き保存するなどとも言いますが、やはりそうなのかなと思いました。
露崎:本当に好きだったからこそ、余計なことをしないで欲しいという。――綺麗な想い出にしたいんですよね。
露崎:そうそう!意地とプライドは大事ですよね(笑)。――11曲目の「さよならの誓い」では“離婚”がテーマとなっていますが、露崎さんにとって人生を供にする相手には、どんな所を尊重しますか?
露崎:すっごく普通な答えですけど、色んなことがあっても、その人と一生一緒にやっていけることが想像できるかどうか、だと思うんです。誠実さとユーモアですかね。――姉御キャラというか、露崎さんの話し声って、高い歌声からイメージしていたのと違って低くて意外だったんですけど、7曲目の「Let Go」は、1コーラスの目の主語が「僕」の男性目線で、2コーラス目では「私」の女性目線になって、キーが1オクターブ上がりますよね。露崎さんは自身は自分の声質について、どう思いますか?
露崎:高いと思われがちなんですけど、基本は低いですよね。歌うと、ハスキーでもないし、割とクセのないツルンとした声質で、自分では嫌だったんですけどね。もっと個性的な声がいいとか色々思ってたこともあるんですけど、歳を重ねて更にもうちょっと低い方が出るようになったのもあって、最近は割とポジティブに受け止めて、「こういう声なんだったら、こういうことをやってみよう」って客観的に自分の声を活用することを考えるようになりましたね。昔は、歌うこと自体に精一杯だったと思うんですけど、「どういう風にこの声で表現したら面白いかな?」とか考えるようになりました。――80’sのサウンドというテーマがありながらも、1曲1曲が個性豊かで、バラエティに富んでいるので、その曲達を歌えているのがすごいな、と感じました。
露崎:そう。昔から多様なことがやりたくて、今までのアルバムでも割とそういう感じなんですけど、今回はそれが特によく出たアルバムというか。自分が今「これがいい、これがやりたい、この人と一緒にやりたい」というものをやっていったら、今回みたいなデコボコアルバムになっていったんです(笑)。――ご自身の性格として、あまり同じことを繰り返すよりは、常に新しいことにチャレンジしたり、固定的なイメージを持たれたりするのが好きではないですか?
露崎:それは多々あるでしょうね(笑)。自分のモチベーションの問題でもあるんですけど、ライブにしても違う曲をやりたくなったり、常に自分が飽きないようにしていくことはありますよね。固定的なイメージを持たれたくないというより、自分が今興味のある、自分が「これがいい」と思うことが、年齢と時間と共にどんどん移り変わっていくので、ただそれをキャッチしてるだけなんですけどね。結果、それが今までと全然違うことだったり。アルバム1個作るにしても、ライブ1個やるにしても、新しい刺激を求めているんでしょうね。求めていないと、どんどん停滞していっちゃうというか、いつも何か壊して進んでいきたいという気持ちはありますね。――5曲目の「A New Day」は、この曲を作られた時期と今の震災後の状況とは違うかと思いますが、忙しく生活していると忘れがちな、何気ない日常の有難みや大切さをまさに実感する機会ですよね。
露崎:本当にそうですね。この地震が起こってから、より実感してます。私は4階から階段を掛け降り逃げて、すごくビックリしたけど、もう生きているだけで有難い。今日は顔を洗って出て行こうと思って、水が無くて苦しんでいる人達がこれだけいる中で、顔を洗う水があってありがたいと思ったし。そんな当たり前のことにも感謝したことは無かったじゃないですか。そういうことに気付くべき時だなと思いますよね。そういうことを忘れちゃいけないと思って歌詞を書きましたけど、今は本当に毎日感じますよね。