――「15 Doors」を聴いた後に、前作のファーストアルバム「moumoon」を聴いたら、YUKAさんの声の表情も多種多様になってきているのと同時に、音場が広くなったように感じました。

MASAKI:前はギターの音とか、ハードな方向のものも結構あったんですけど、ライブも含めてやっていく内に、YUKAちゃんの声がよく聴こえたり、持ち味を出せる曲って、そんなにハードにしなくても。ハードなものはもちろん今でも好きなんですけど、もうちょっと力を抜いているような、アンニュイなサウンドとかを聴いてもらえるのもいいなと思って。前と比べると、その分ソフトというか広くして、YUKAちゃんの声が真ん中にいるのが多いかもしれないですね。コーラスが入っているのは多いですけど、逆に分厚いオケが減ったという。

――ミュージックビデオやジャケットは、メンバーからのアイディアを元にイメージを膨らませていったんですか?

YUKA:そうですね。イラストとか、過去に描いた自分の絵とかも見せて、「こんな色合い」とか「空が見えたり」とかイメージを伝えたり、曲の感じを聴いてもらったりしながら、「ここまで絶対にやって下さいとは言わないんですけど、私達こんなこと思いついちゃいました」ぐらいな感じで伝えましたね(笑)。「ドアを開けて、隣からまた出てきて」というのは、「そのまま使わせて頂きます」と言われて、嬉しかったです(笑)。

MASAKI:意外と、今まではお任せしてたんですけど、今回はYUKAちゃんもすごくアイディアを出したし、それを受けて色々と膨らましてくれて。「アレ?こっちじゃない」みたいなことは全く無かったですね。「そうそう、これこれ!」みたいな感じで。

YUKA:音を聴いて、そのイメージと全く違うストーリーが出てきても、それはそれで面白いと思うんですけど、今回は音と映像の質感がすごくマッチしてて、気持ち良い映像だったので「いいなぁー」と思いました。

――個人的に「Flowers」のミュージックビデオで衝撃を受けてmoumoonに注目するようになったのですが、昔の映像を観るのは恥ずかしいですか?

YUKA:「Flowers」なんて、いつもカメラを避けていましたもん。目線を合わせるのが、本当にもう怖くて。なんかダメだったんですよね。あの状態で、良い感じにして頂いたなと思いますねー(笑)。

MASAKI:でも、あれはあれで、今観てもすごくシンプルな映像が綺麗だなって思うし。一つのカメラしか無かったので。敢えて、そうしたんだと思うんですけど。

YUKA:全部1テイクだから。すごく好きですねー。

――後でCGを加えたり。

MASAKI:後で花を撮ってたんですよね。「Flowers」から比べると、今はちゃんとカメラを見て、すごく歌手っぽい感じがしますよね(笑)。

YUKA:確かに歌手っぽい!かもしれないですね(笑)。カメラに目線を、というのが。

MASAKI:「Flowers」は、自分を見ると堅いなと(笑)。どこ見てギター弾いているのかな?という。ちょっと面白いんですけど、若いですね。あれからこんなに時間が経ったんだなとか、ここから色んな曲を作って、今になって。あの時はライブはほとんど、やってはいたけどカチコチだったと思うんですけど、こんなにたくさん曲が作れて、いっぱいリリース出来て良かったなと。原点というか、こういう音楽をやりたいんだ!という最初の曲なので。YUKAちゃんが僕の曲を初めて聴いてくれて、歌詞を書いてくれた曲でもあるので。そういう意味も含めて本当に感慨深いですね。