帰国後の会見に臨む権田と今野【写真:後藤勝】

■長友のインテル移籍騒動
2月1日は降って湧いたような長友佑都のインテル移籍で幕を開けた。ネット越しに観るイタリアのテレビ番組は、カルチョメルカートの刻限である日本時間午前3時を過ぎた頃、ようやく契約の成立を告げる花火を打ち上げ、ハレルヤと祝した。日本人作曲の音源がそれしかなかったのか、長友コーナーのBGMは、坂本龍一の『戦場のメリークリスマス』。宴に加わった日本人は、並行してインテルやFC東京の公式サイトに押しかけ、サーバをパンクさせようとしていた。翌朝睡眠不足のサッカーファンがどれだけいたことか。

午前10時からはFC東京のクラブハウス、その二階にて、今野泰幸と権田修一の帰国会見がおこなわれた。ふたりが日本代表に召集され参加したアジアカップは、韓国とオーストラリアを下しての優勝。堂々たる結果にはケチのつけようがない。

■隔世の感
会見後、今野は藤山竜仁育成部コーチと何事か話し込む。FC東京がJ1に昇格した際、藤山が日本代表への想いを口にしても、ファンには本気にされなかった。ところがいま、FC東京でプレーする選手の質は、日本代表の公式戦で、あるいは欧州強豪国のトップディビジョンで証明されるようになった。

十年ひと昔というが、時代は変わった。J2と日本代表とクラブ世界王者の距離がこれほど近いのなら、「代表厨」「海外厨」「Jオタ」といった種族分類スラングが無効化される日も近いのかもしれない。ただのサッカー好きでいいではないか。すべてのカテゴリーはつながっているし、その時々でどの試合を観ようとその人の勝手だ。

日本代表のスターティングメンバーの過半数を欧州クラブの選手が占めるなか、前田遼一や遠藤保仁とともに数少ない国内組としてディフェンスラインの中央を守った今野はメディアの耳目を集め、小平には多くのTVクルーとペン記者、カメラマンが押し寄せた。

■権田と今野がみせる「らしさ」
権田はアジアカップで試合に出場することがなくとも自然体で過ごした旨を堂々と語り、今野はキャプテンシーを東京でも発揮することになるのではないかと問われ、誰かひとりだけでなくそれぞれが自覚しないと──と、もっともらしいことを言いながら「そう言って逃げるんですけどね」と付け加える。ふたりとも「らしさ」が出ていてよかった。いい意味で現日本代表のグループに入る前と変化がない。

付け加えれば今野は、高さで勝てない分、読みで勝負できるようになりたいと、自分なりに思い描くセンターバックにより近づくのだという意欲をはっきりと示していた。

このふたりはJ2のカテゴリーであっても、間違いなく代表のグレードでプレーするのだろう。

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■著者プロフィール
後藤勝

東京都出身。ゲーム雑誌、サブカル雑誌への執筆を経て、2001年ごろからサッカーを中心に活動。FC東京関連や、昭和期のサッカー関係者へのインタビュー、JFLや地域リーグなど下位ディビジョンの取材に定評がある。著書に「トーキョーワッショイ」(双葉社)がある。


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