――ですが監督は過去たくさんのタイトルを獲得していらっしゃいます。そのチャンピオンになったときの経験から、今のチームで王者になるためには何が必要だと思いますか?
「うーん、そうですね……。タイトルを獲りたいという気持ちですかね。強い気持ちをみんなが持てるかどうかが大切になると思います。勝つという気持ちを全員で持てば実際に勝つ雰囲気になりますし、勝つという気持ちを持った選手ばかりになれば、お互いに厳しくなりますので、やはり本当に獲るんだという強い気持ちを一人ひとりが持てるかどうかだと思います。心のどこかで『ここまでやったからいいんだ』とか、『ここまでで仕方がない』という気持ちにならずに、獲りたくて仕方がないという気持ちにならない限りチャンピオンにはなれません。清水の選手はそういう気持ちになっていると思うので、今シーズンはタイトルという面で本当にチャンスだと思います」

――勝つということだけを考えると、もっとひどいファウルをしたり、時間稼ぎをして試合を終わらせたりという手段もあると思いますが、清水はそういうことを『良し』としてきませんでした。
「僕はそれをしなければ勝てないとは決して思っていません。もちろん、選手が一生懸命にプレーするあまり、相手の足を蹴ってしまったということはあるかもしれません。ですが、相手のチャンスを潰すために相手に怪我をさせろだとか、時間稼ぎをして試合を終わらせろという指示を出すことはありません。積極的にはね(笑)。勝っているときに、簡単にCKを普通どおり蹴って相手にボールを奪われてカウンターを食らったりしたら、どうしてショートコーナーにしないんだ、と怒ったりすることはあるかもしれませんが。だけど、積極的に時間稼ぎを奨励したり、ファウルすることを求めたりはしません。そういうことは好きじゃないので」

――それはサッカーどころとしてのプライドでしょうか?
「ファウルをしたり、時間稼ぎをしたりしないと世界では勝てないと言われますけど、そんなことをしなくても勝てるようになれば、それに越したことはないですよ。そうできるんじゃないかという考えをずっと持っています」

(第2回へつづく)


著者プロフィール
森雅史

佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に関わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューとを得意としており、取材範囲も選手やチームスタッフに留まらず広い。日本サッカー協会の公認コーチライセンスも取得している。近著に『大世 チョン・テセ BIGWORLD』(小学館)がある。

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