フランス代表のレイモン・ドメネク前監督が、フランスサッカー連盟(FFF)に200万ユーロ(約2億2600万円)を超える退職金の支払いを要求し、労働裁判所に提訴した模様だ。AFP(フランス通信)などが2日に報じた。

 ドメネク氏は本来、7月31日に代表監督としての契約が満了したのち、籍を置くFFF技術強化本部(DTN)に戻り、監督などの指導を行なう職務に就くことになっていた。しかし、W杯南ア大会中に噴出したさまざまな問題の原因の多くがドメネク氏にある、とする意見がFFF内外に根強くあり、理事会は同氏の解雇を決めた。

 解雇の場合、雇用者には通常、一定の退職金を支払う義務が発生するが、被用者に“重大な過失”があった場合はこの限りでない。ドメネク氏に多額の退職金を払えば国民の反発が避けられないこともあり、FFFはW杯南ア戦の試合後にドメネク氏が相手監督との握手を拒んだことを“重大な過失”として、退職金の支払いを回避した。

 ちなみに監督時代のドメネク氏の給与はおよそ月4万7000ユーロ(約530万円)と推定され、今回の要求額はそのほぼ4年分に当たる。

 ドメネク氏は2004年7月にフランス代表の監督に就任した。2年後のW杯準優勝という成績を強みに、持ち前の交渉術で一気に2010年までの契約延長を勝ちとった。

 しかしユーロ2008のグループリーグでは1勝もできずに敗退。FFFがドメネク氏のクビを切れなかった理由のひとつには、このときに発生する違約金の問題もあったとされる。しかし今回、結局それと同程度の金額を払うとなれば、「なぜあの時点で」という後悔がまたぶり返しそうだ。

 ちなみにドメネク監督就任の間に、フランスはFIFAランキングで2位から27位へと大幅に順位を下げた。ブラン監督が就任した現在、18位まで盛り返している。