そう考えると、南アフリカＷ杯のチームをベースとするのは、ひとまず間違っていない。ただ、中期的な視野を持つと、センターバックとボランチの人材発掘は絶対に必要となってくる。
スペイン代表のようなチームを本当に目ざすなら、センターバックとボランチの重要度はさらに高まる。
シャビとイニエスタばかりがスポットライトを浴びているが、スペイン代表の〈肝〉はセンターバックとボランチだ。中長距離のフィードができて自らボールを運べるピケのようなセンターバックと、展開力のあるシャビ・アロンソのようなピボーテがいることで、スペイン代表のサッカーは成り立っている。また、ピケ、プジョル、シャビ・アロンソ、カプデビラらの高さがある（あるいは空中戦に強い）選手の存在は、自陣ゴール前で制空権を握ることにつながっていた。安定した守備があるからこそ、シャビやイニエスタは攻撃のビルドアップや決定機の演出に力を注げていたのである。
新監督就任から４か月後にアジアカップが控える今回は、過去の監督よりもチームの方向づけが難しい。短期的な結果を求めつつ、４年後を見据えたチーム編成をしていかなければならないからだ。
Ｗ杯のリベンジと報道されているパラグアイ戦は、海外組の凱旋や新チームの初陣といった要素も折り重なって、かなりの注目を集めるだろう。だからといって、２試合ともに同じ顔ぶれで挑むのではなく、パラグアイ戦は南アフリカ・ワールドカップのメンバーを中心に戦い、グアテマラ戦はフレッシュな人材を起用するといった使い分けを考えていくべきだろう。
ヨーロッパのカレンダーでは微妙なタイミングの開催となる来年１月のアジアカップに、海外組をどこまで招集できるのかは不透明だ。グループリーグだけ、決勝トーナメントだけといった部分的な合流も有り得る。国内組に経験を積ませていくのは、その意味でも大切なのである。
さらに付け加えておけば、９月早々にも来日が予定される（？）新監督に多くのインフォメーションを与える意味でも、とりわけ国際Ａマッチ出場が少ない選手はテストしておきたい。勝ち負けを度外視しろとは言わないが、アジアカップを見据えた準備は一刻も早く進めるべきなのである。パラグアイへのリベンジなど、ブラジルＷ杯への道のりでは些細なことでしかない。
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