――撮影もかなりハードだったんですね。逆に達成感のあったシーンや瞬間はありますか?
小向:ハードだなと感じたのは縛りのシーンが増えた日の撮影ですかね。緊縛シーンの撮影日は、肉体的にも精神的にもハードなので心の準備をして現場に入るんです。ある日、翌日のスケジュールを確認したときには縛りの撮影は1シーンだけのはずなのに、当日行ってみたら朝から晩まで全部縛りの撮影に変更されてて(笑)。
――成田監督のドッキリなんですかね?(笑)
小向:多分そうです(笑)。その日は白無垢、着物、ドレス・・・いろんなバリエーションの縛りを1日で撮りました。でも、その日に撮影したシーンを観たとき、自分の姿なのに「すごい綺麗」って思ったんですよ。それが達成感でしょうか。
――この作品で演じられた静子という女性は、徐々に禁断の世界へ入っていく役どころですよね。小向さんはこの作品を経て、自分の中にない価値観や、世界観の変化って何かありましたか?
小向:価値観の変化かどうかはわかりませんが、作品を通じてたくさんの人と出会えたことは大きいですね。作品の内容が内容なだけに偏見を持つ方々もいらっしゃるかと思います。私も最初は緊縛のことなんてまったく知らなかったのですが、緊縛師の有末さんからお話を聞いて、緊縛の種類や縛り方の意味や、芸術作品としての緊縛という見方もあるのだと学びました。緊縛というものをどう捉えるかはその人次第ですけど、私が感じたのは高い芸術性です。有末さんは「緊縛は生け花と同じ。女性を綺麗に飾る手段だ」と仰ってました。“縄化粧”なんて言葉もあるぐらいですから。
――作品を観に来てくれるお客さんに対して、どのような視点で観て欲しいですか?
小向:今回の作品は「花と蛇」シリーズではあるのですが、1や2とはストーリーやテーマがちょっと違うんです。前回の2は肉体的調教がメインだったのですが、今回は精神的な調教がポイントになっています。女性の方は自分を静子に置き換えてストーリーを味わえるんじゃないかな。男性もビジュアルだけじゃなくストーリーも楽しんで欲しいです。あとは、成田監督のこだわりでオールアフレコ、フィルム撮影ですから、最近の映画にない映像美を体験していただければと思います。緊縛だけではなく映像作品の芸術性も楽しんでいただけるはずです。
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花と蛇3―作品情報