11日の親善試合ノルウェー戦でフランス代表に復帰し、フランス唯一のゴールをあげたハテム・ベン・アルファ(23)。途中出場ながら、強烈なシュートのほか、ドリブルでの突破や柔らかいタッチのパスでも非凡なところを見せ、十分に存在をアピールした。

 メディアからも久々に大きく取り上げられており、ここまで脚光を浴びるのは、2年前にリヨンからマルセイユに移籍して以来と言っていい。ベン・アルファは2008年7月、国内での移籍としてはトップクラスの推定1200万ユーロ(当時のレートで約19億4000万円)以上という破格の移籍金でリヨンからマルセイユに移籍。しかし期待が大きいだけにそれに応える活躍をしたとはいいがたく、いまだ“未完の天才”という印象を残しつづけている。

 今シーズンもデシャン監督の構想では準レギュラー扱い。それでも国外のクラブから多くのオファーを受け、マルセイユは「条件さえよければ放出」という構えでいた。先週にはプレミアリーグのニューカッスル入りがほぼ確定と報じられていた。

 ところが12日、代表合宿からクラブの練習施設に戻ったベン・アルファを待ち受けていたのは、ダシエ・マルセイユ会長の「移籍不可」という回答。レキップ紙によると、これに怒ったベン・アルファは「もう戻ってこない」と言い残し、荷物をまとめて出て行ったという。

 同紙は、マルセイユが一転してベン・アルファ残留に方針を切り替えた背景に、FWママドゥ・ニヤンのフェネルバフチェ(トルコ)移籍がまとまりそうなことがあると指摘する。当初はニヤンの移籍を「問題外」と明言していたダシエ会長だったが、金銭面で納得のいくオファーを得られた模様だ。また、セビージャからブラジル代表FWルイス・ファビアーノを獲得する交渉が進展していることも影響していると見られる。