7月21日、東京・六本木のザ・リッツ・カールトン東京にて映画『インセプション』来日記者会見が行われた。7月23日に日本公開を控えた本作。前夜には六本木ヒルズアリーナにて盛大なレッドカーペットイベントも開催され、日増しに盛り上がりを見せている。記者会見には前夜に続き主演のレオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、監督のクリストファー・ノーラン、プロデューサーのエマ・トーマスが出席。いままでベールに包まれてきた作品に対する印象から、共演者、監督らの作品に対する思い入れなどに関して、さまざまな質問が飛び交った。

まず、渡辺謙が「この地で始まった作品を、こうして届けることができるのは非常にうれしく思います」とコメント。そう、本作は昨年6月に東京で撮影が開始され、その後、イギリス(ロンドン)、フランス(パリ)、アメリカ(カリフォルニア)、カナダ(カルガリー)、アルジェリア(タンジェ)と、世界4大陸6カ国で撮影が行われた超大作なのだ。ここ東京は撮影が始まった土地ということもあり「日本に帰ってくることができてよかった」と監督、プロデューサーまでも一様に口を揃えてのコメントとなっていたのも印象的だった。

主演のレオナルド・ディカプリオは「こういう形で東京に戻ってこられたのは非常にうれしい。東京での撮影は2日間だけだったが、この映画のトーンを決めた2日間といっても過言ではない時間だった。そういった意味でも、日本の観客にこの作品を早く見て欲しい。すごく脳を刺激するようなシュールな作品であり、最高のスペクタクルが詰まっていて、さらにどこか考えさせるような作品に仕上がっているので、絶対に楽しんでもらえるはず」と作品に対する絶対的な自信を覗かせた。

とにかく圧倒的なスケールで描かれる本作。迫力あるシーンも多数ある中で「お気に入りのシーンは?」という問いに対してディカプリオは「撮影中は毎日が驚きの連続だったので特定のシーンというのは難しい。1日の間に監督が作りだす世界というのは非常にたくさんあって、雪崩を作りだしたり、廊下を360度回転させたり、シャンゼリゼ通りでお茶してるとすべてが爆破したり、といった種類のものだから(笑)。毎日何かが起こるのではと、そんな期待をして現場に行ってたよ。今回楽しかったのは、スペクタクル超大作という枠組みの中にありながら、演じること、描くことのできたのは、キャラクターのエモーショナルな旅の部分というところ。映画の中には夢の中に侵入して、ある人生、過去を生きてしまう、という経験を持つキャラクターが登場するが、このシーンに関しては、共演者といろいろ深く興味深い演技論を交わすことができた。渡辺さんなどと交わした非常にシュールで実存主義的な会話は、もう二度とこんな会話を交わすことはないなと感じられるような貴重な体験だった」と。渡辺は「私も1つのシーンを選ぶというのは、なかなか難しいです。僕の役は“ジェームス・ボンドみたいにやってくれ”という監督からのオファーがあったけど、残念ながらそれを表現できたかどうかはわかりませんが、なんとか演じたという形。しかし、残念ながらボンドガールは脚本には用意されていなかったですけど」と、会場の笑いを誘ったコメントで切り返した。