2年半で7つのトロフィーと5度の退席処分。スポーツ面における計り知れない価値と、そのナーバスさを考えると、バルセロナのペップ・グアルディオラ監督は普通の指揮官ではない。インテルのジョゼ・モウリーニョ監督と比較してみると、まるで成功を収める若い指揮官は、緊張感にあふれ、言葉数が多すぎるものであるかのようだ。モウリーニョ監督は2009年に4度の退席処分を受けている。

6日に行なわれたリーガ第25節のアルメリア戦。27分にグアルディオラ監督は主審から退席を命じられた。主審は同監督を退席とした理由について、試合後の報告書で、同監督が「すべて逆の笛を吹いている。何も分かっちゃいない」と言ったと説明している。侮辱をしたわけでも、特別に中傷的な言葉を言ったのでもない。しかし、それだけではないのだ。

リオネル・メッシと相手DFの接触があったとき、グアルディオラ監督は近くにいた副審のマイクを使って主審に話しかけたのである。それをテレビ映像が映していた。グアルディオラ監督は副審の頬から数センチのところで、「あれはPKだ!」と怒鳴った。それを見た第4審判が主審を呼び、「彼は限界を超えた」と伝え、グアルディオラ監督はスタンドに座ることとなった。

バルセロナにはその後FKが“プレゼント”され、メッシがこれを決めて同点に追いつく。だが、フラストレーションをためていたズラタン・イブラヒモビッチが不当ながら退場となったバルサは、結局試合を2−2のドローで終え、勝ち点でレアル・マドリーに並ばれた(得失点差で2位に転落している)。

今季初の退席処分を受けたグアルディオラ監督について、その経歴をひも解いてみると、彼に対する賛辞とは異なる数字が現れる。現役時代、グアルディオラ監督は世界的な“デーモン”、元ブルガリア代表FWフリスト・ストイチコフ氏と並ぶ、うれしくない記録を残しているのだ。2人はバルセロナのユニフォームで8度の退場処分を受けている。ストイチコフ氏がバルサにいたのは7シーズンで、グアルディオラ監督は11シーズンだから、同監督の方が平均値は良い。だがいずれにしても、このデータは残るものだ。

2007年夏からベンチへ座り、バルセロナB、続いてバルセロナの指揮官となったグアルディオラ監督は、今季のコパ・デル・レイを除くすべての大会でトロフィーを獲得してきた。だが同時に、彼は5度の退席処分も経験している。最初の2回は、バルセロナBが3部昇格を争ったマンジェウとの2試合。興味深いことに、チームは2度とも勝利を収めている。続いて、昨年4月8日のバイエルン・ミュンヘン戦。バルサは4−0で勝利した。そして、チャンピオンズリーグ決勝戦の5日前、すでに優勝を決めたリーガでのオサスナ戦が4度目だ。最後が、6日のアルメリア戦である。