ハイチの大地震から一週間以上が過ぎた。韓国では今回の大地震を受けて、「地震対策」への関心が徐々に高まりつつあるようだが、地震大国である日本と比べたらまだまだ足下にも及ばない。

韓国が地震に対してあまり関心を向けてこなかった原因は、日本よりも遥かに地震の発生回数が少ないことによるが、では、実際に韓国で地震が起こっていないのかといったらノー。となると、仮にハイチ並みの大地震が起こった場合、果たして韓国はどうなってしまうのだろうか。今回はおせっかいながらも隣の国、韓国の地震対策状況について心配してみようと思う。

韓国のmftodayニュースによると、昨年、朝鮮半島で発生した地震の回数は60回。過去10年間(1999〜2008年)の年平均41回より19回多い。また、これまで発生した地震の中で最も規模が大きかったのは、1980年1月8日平安北道で発生したマグニチュード5.3の地震、次いで2004年5月29日慶尚北道の東方海域で発生した5.2、そして1978年9月16日忠清北道で起きた5.2であるという。

地震発生率は、マグニチュード4.0程度の地震が1年に1回ほどで、5.0が5〜6年に1回ほど。だが、いくら朝鮮半島がユーラシアプレート内部に位置し比較的安全だからといっても、中国河北省に位置する唐山(とうざん)で発生した唐山地震(1976年にマグニチュード7.8の直下型地震が発生)などの例がある限り、韓国で6以上の大地震が突然起きてもおかしくないのである。

しかし、今のところ、地震発生時の対策は非常に遅れていると言える。例えば、地震が発生した時には国民へいち早く情報を流し、避難するなどの対策をとらなければならないが、現在、緊急地震速報が流れる時間は平均で4.4分。マグニチュード3.5以上なら2分以内、2.0以上なら5分以内だという。

また、昨年ソウル市内に建てられた建造物62万8325棟のうち、耐震設計が確認されたのは9.85%の6万1919棟。つまり、90%近くの建造物が耐震不足なのである。

このような韓国の地震技術産業の遅れは、3年間1度も地震関連の特許申請や登録がされていないという現状からも明らかだ。近年、さすがにこの状態に危惧を抱いたのだろうか、気象庁は緊急地震速報を2015年までに50秒以内、2020年までに10秒以内の発令を目指し開発が行われているという。しかし、建築物に対する具体的対策は今のところないようだ。

韓国の木浦大学建築工学科キム・ヨンソク教授は、「耐震設計建築法は1988年に導入され、6階以上の建築で延べ床面積1万平方メートル以上の建築物に限り義務化されている」とし、「検証が行われていないだけで、鉄筋コンクリートで建てられているため、ある程度の耐震性はある」と説明しているという。

日本だったら「鉄筋コンクリートだから耐震性がある」なんて説明されても納得がいくものではないのだが…
韓国ネチズンの反応はというと、「地震が起きたら終わり」「ソウルで起きたらアパートがドミノ倒しになる」「そんなことあるの?想像したくないな」「韓国人は心配がないようだ」と起きた時はしょうがないといった諦めの声が多いようだ。

参照:韓国で地震が起きたら?速報が流れた時には「すでに荒地」 - mftoday

(文:林由美)


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