産経新聞のソウル支局長、黒田勝弘氏が韓国のビビンバを蔑視したとして論争が起こっている。現在、韓国のインターネット上には様々な反論や、黒田氏自身への批判などで加熱する一方だ。
今回、韓国で大きく騒がれているのは、産経ニュースの外信コラム「ソウルからヨボセヨ」で、12月26日に掲載された黒田勝弘氏の「ビビンバはつらい?」の記事が発端となっている。記事には、韓国が「韓国料理の世界化」を目指して国を挙げてキャンペーンを繰り広げていることなどを紹介。
しかし、「ビビンバは見た目はいいが食べてビックリ」「“世界化”の展望には首をかしげる声が多かった」「具とご飯がぐちゃぐちゃになった正体不明のものを、スプーンですくって食べる」「米国人が、その“羊頭狗肉(ようとうくにく)”に驚かなければいいが」と述べており、これらの表現が韓国人を怒らせることとなった。
文中に登場する“羊頭狗肉”とは、「羊頭を掲げて狗肉を売る」の略で、羊の頭を看板に掲げているのに、実際には羊の肉を売らずに犬の肉を売るという意味。つまり、見かけは上等でも、実質が伴わないということである。黒田氏の文章を要約するならば、「韓国は韓国料理の世界化を進めているが、「ビビム」という“羊頭狗肉”の食習慣を世界は理解できるだろうか?」ということになるのだろう。
だが、外国人からすると「ビビム」が“羊頭狗肉”な食習慣に見えたとしても、韓国人にとっては昔から伝わるひとつの食習慣。韓国人が怒るのも無理はないだろう。しかも、“羊頭狗肉”という表現の中に「犬の肉を売る」という意味が含まれていることも、犬肉を食べる韓国の食文化に対する蔑視だという声も出てきている。
様々な反論が出てきているが、梨花女子大学のイ・オリョン教授は「日本の食べ物こそ“羊頭狗肉”」と語っている。イ・オリョン教授は30日、MBCラジオのインタビューで「ビビンバは五色の食材で彩られていて美しいじゃないですか。その美しい状態を“ビビム”してしまうのは空しいということなのでしょうが、それを“羊頭狗肉”と表現するのならば日本の料理こそ“羊頭狗肉”でしょう。日本料理は見るからに美しく、食べるのがもったいないくらいですが、食べてみると全然おいしくないんですよね」とのこと。
現在、韓国のネット上ではあちこちでこのような反論や批判の声が掲載されている。一方で、「子どもの喧嘩のようだ」「こいつらはいつまでくだらないことで時間を潰すんだ?」といったネットユーザーの意見も出てきている。確かに、黒田氏の“羊頭狗肉”という表現は少し度が過ぎたと言える。だが、これに対して「日本人が妄言」「日本料理こそ“羊頭狗肉”」「寿司は未開の食べ物」などと反論している人たちも問題ではないだろうか。
参照:【外信コラム】ソウルからヨボセヨ ビビンバはつらい? − 産経ニュース
参照:イ・オリョン「日本料理こそ“羊頭狗肉”」
参照:「無限挑戦」キム・テホPD「黒田の発言は無知」 - アジアトゥデイ
(文:林由美)
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